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時間外救急:軽症者から8400円特別徴収…埼玉医大計画

 埼玉医科大総合医療センター(埼玉県川越市)が、夜間・休日の軽症救急患者に対し、時間外特別徴収金として、8400円を自己負担してもらう計画を進めていることが10日分かった。従来は健康保険から徴収していた時間外料金を全額患者の自己負担にかえ、受診者数を抑える狙い。軽症患者急増で診療体制が維持できないことが背景にあるという。専門医は「救急では聞いたことのない制度。必要な医療を受けられない恐れもある」と批判している。

 同センターによると、時間外の救急患者は94年に年間約1万人だったが、06年は約4万人に増加した。診療体制がパンク寸前になったため、軽症の受診者数を減らす方法を模索。その結果、紹介状がなく、入院を必要としない患者に対し、特別料金の徴収で負担を増やし、受診者数を絞ることにした。既に張り紙などで周知を始めている。

 ただ、「緊急性」などを巡り一律に線引きするのは難しい面もあり、現在、院内で基準作りを進めている。例えば、入院しなくても「緊急性あり」と診断された患者には、特別徴収金を求めない。一方、救急車で搬送された患者でも軽症なら徴収する予定。数カ月後の運用開始を目指す。

 厚生労働省は、時間外診療について、病院の裁量によって健康保険を適用せず、特別料金を上乗せできる制度を設けている。地元の社会保険事務局に届け出れば実施でき、同センターは今年3月、埼玉社会保険事務局の了承を得たという。

 日本救急医学会の山本保博代表理事(日本医大教授)は、個人的見解としたうえで「本当に必要な患者が治療を受けられなくなる心配がある。(誰もが健康保険で治療を受けられる)国民皆保険を揺るがす問題だ」と指摘している。【高木昭午、稲田佳代】

 ▽厚生労働省保険局の話 特別料金を徴収できる制度は、時間外受診の希望や保険で決められた回数以上の検査など患者の多様なニーズに応えるためのもの。受診抑制を目的とされると趣旨と合うか微妙だ。

毎日新聞 2007年11月11日 2時30分

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