2007年11月05日 更新

【日本選手権】山田真が2度目のSG制覇「うれしいです」

自身2度目のSG優勝を果たした山田=飯塚オート場

自身2度目のSG優勝を果たした山田=飯塚オート場

初周から先頭に抜け出した山田(1番車)は驚異的なスピードで後続を大きく引き離し圧勝

初周から先頭に抜け出した山田(1番車)は驚異的なスピードで後続を大きく引き離し圧勝

 飯塚オート『SG第39回日本選手権』は4日の最終日、12Rで優勝戦が争われ、フライングによる2度目の発走でインから先手を奪った山田真弘(35)=船橋24期=が後続を50メートル以上引き離して圧勝。3.320秒の自己最速タイムで平成17年オートGP(浜松)に続く2度目のSG制覇を飾るとともに、V賞金2300万円を獲得した。今節でSG復帰した高橋貢が追い込んで2着。

 白い稲妻が虹から突き抜けたような印象だった。1枠から08の絶妙なタイミングで1コーナーを俊敏に回った山田は後続を置き去りにする独走劇。“魔法のタイヤ”「48番」を使って準決勝で出した3.349秒も出色だったが、優勝戦の本走3.320秒は、今節の、そして自己最速タイムだった。初めて体感するスピードに「ゆっくり息をする暇もなく、6周目あたりから呼吸困難になりました。自分の技量を超えて勢いにまかせてそのまま走りました」と余韻覚めやらぬといった表情で口にした。

 まさにエンジンもタイヤもうまくかみ合った一戦。特に二女・菜乃華ちゃんの名前と誕生日からとった「ナノ・111」で勝ったビッグタイトルに喜びはひとしおで「うれしいですね」と頬を緩めた。

 今年は全日本選抜(8着)、オールスター(5着)で優出。9月の地元オートGPはフライングで失権したが、そこから気持ちを切り替えて今大会に照準を合わせてきたことが実った。ずっと苦手にしていた飯塚走路も、昨年のオートGP(2着)あたりで克服し、今度は堂々のSG2度目のVだ。それも「最も欲しかった」日本選手権の栄冠を手にして、より自信を深めたことは確かだろう。

 次の目標は? との問いに山田は、深呼吸しながら「これから考えます」。来月に控えるSGスーパースター王座トライアル(川口)でも快速ぶりを発揮してくれることは間違いなさそうだ。

(山本ひろみ)


■山田 真弘(やまだ・まさひろ)

 昭和47年8月15日、東京都墨田区出身の35歳。1メートル63、64キロ、血液型B。平成7年6月に24期生として登録され同期には伊藤信夫(浜松)、浜野淳(山陽)、仲口武志(船橋)、佐藤裕二(埼玉)らがいる。SGは平成17年オートGP(浜松)に続く2度目の制覇。通算成績346勝、15V。趣味はサッカー観戦。特技は早食い。家族は夫人と一男二女。

★山田真が福祉機器を寄贈

 4日の飯塚オート『SG第39回日本選手権』を制した山田真弘(船橋)は同日、優勝賞金の一部から介護用ベッドなどの福祉機器を飯塚市養護老人ホーム『愛生苑』に寄贈した。

★高橋貢2着にも納得

 高橋貢(伊勢崎)が9周1角で有吉をかわして2着。レース後は「スゲー。同じエンジンで、あれだけ離れるもんなんだね」と悔しさをとおり越して、笑顔さえまじえながら、潔く勝者を称えていた。昨秋の当地オートGP以来となるSG復帰戦で、堂々の準V。「優勝戦に乗ることを目標にしてきた。SGは疲れるけど、精神的にもまだ戦える」。確かな手応えをつかみ、巻き返しを誓っていた。

◆有吉(3着)

 「スタートは切れたけど…。48番のタイヤとは勝負できん」

◆松山(4着)

 「スタートが痛かった。でも行っても山田さんはどうかな」

◆荒尾(5着)

 「車はだいぶ手前がよくなったけど、すごく疲れました」

◆篠原(6着)

 「フライングは勝負をかけていたから…。レースが速すぎ」

◆片平(7着)

 「立ち上がりがグリップせずスピードに乗らない。出直し」

◆武藤(8着)

 「冷えていい感じがしたけどエンジンからかタイヤが滑った」

■飯塚12R優勝戦・VTR

 (4)篠原のフライングで2回目の発走。1コーナーは(1)(8)(4)(7)(2)(3)(5)(6)の順。インから五分の好スタートを切った(1)山田真が一気に伸びて先手を奪う。カマした(8)有吉が2番手につけたが、山田はグイグイ引き離して、最後は2着以下をはるか後方に突き放して圧勝。2番手以下は有吉、篠原の隊形で終盤に入ったが、出負け後方から巻き返してきた(3)高橋貢が徐々に接近。8周3角で篠原、9周1角で有吉をかわして2着。

飯塚オート『SG第39回日本選手権オートレース』優勝戦成績
(4日、12R、晴れ、良走路、オープン、5100メートル、10周戦)
着順車番選手名(所属)車名試走ST100m
秒速
〔1〕山田真弘(船橋)ナノ・11130083.320
〔3〕高橋 貢(伊勢)Fニーナ29133.371
〔8〕有吉辰也(飯塚)タツダンス32083.376
〔6〕松山茂靖(浜松)シゲリット33083.376
〔2〕荒尾 聡(飯塚)デフジャム30043.378
〔4〕篠原 睦(飯塚)ブーヤ31133.380
〔5〕片平 巧(船橋)キブロワイト30133.386
〔7〕武藤博臣(船橋)バルデラマ30083.414
▼10周走破タイム=2分49秒3
▼決まり手=逃げ切り
▽連複  〔1〕〔3〕    260円(1)
▽連単  〔1〕〔3〕    390円(1)
▽3連単 〔1〕〔3〕〔8〕2950円(7)
(レース結果は主催者発行のものと照合し確認して下さい)

★SS王座決定戦の出場16選手確定

 日本選手権の結果を受けて、12月20日から川口で行われる『SG第22回スーパースター王座決定戦』トライアル戦出場の16選手が確定した。すでにSG優勝者、地区成績1位選手8人が出場を決めていたが、選手権ですでに出場権を得ている山田真が優勝したため、SGポイント上位者枠は8人に拡大。逆転16強入りを狙った片平、篠原も上位には食い込めなかったため、ポイント8位の深谷までが出場を決めた。9大会連続決定戦進出がかかる池田も同7位でTR出場。同1位の有吉をはじめ、7人が初出場となる。

★売り上げ伸びず

 飯塚オート・日本選手権の総売り上げは25億4059万1400円。目標の26億円には届かなかった。