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大江氏言葉に詰まる場面も 沖縄集団自決訴訟 (1/2ページ)
このニュースのトピックス:沖縄集団自決
元守備隊長が集団自決を命じたのか否か。9日、大阪地裁であった沖縄戦の集団自決をめぐる訴訟の本人尋問では、“無実”を訴える原告側と、軍命令説を崩さない大江健三郎氏の主張がぶつかりあった。大江氏の尋問時間は約2時間に及び、軍命令説の根拠を重ねて問う原告側弁護士に対し、言葉に詰まる場面もみられた。閉廷後、原告の元守備隊長は「(大江氏の主張は)自分の書いた本の弁護ばかりだった」と不満を述べた。
この日午後からあった原告の一人で元渡嘉敷島守備隊長、故赤松嘉次元大尉の弟、秀一さん(74)と大江氏の本人尋問。先に秀一さんが証言台に立った。
冒頭、渡嘉敷島での軍命令説を記述した大江氏の著書『沖縄ノート』の感想を原告側代理人から聞かれた秀一さんは、一気に思いのたけをぶちまけた。
「兄に会ったこともなければ渡嘉敷島に行ったこともないのに、兄の心の中にまで入り込んだような内容だった。まるではらわたを火の棒でかき回すようなやり方に憤りを感じた」
被告側の当事者席から身を乗り出しながらも、表情一つ変えない大江氏。秀一さんは曲がった背中を証言台で支えながら、「『私は集団自決の命令をしていない』という手記を残した兄の無念を晴らしたい」と力強く訴えた。