【ワシントン和田浩明】米国のホームレスの約4分の1が退役軍人だとの調査結果を米民間団体が8日公表した。米国の成人人口に占める退役軍人の比率の2倍以上に相当する。イラク戦争の復員兵にもホームレスが出始めており、派兵期間の長期化や激しい戦闘による心的外傷後ストレス障害(PTSD)の影響が指摘されている。
調査は復員軍人省と国政調査局のデータを基に全米ホームレス撲滅同盟(ワシントン)が実施した。05年1月時点で全米に74万4313人いたホームレスのうち、約26%の19万4254人が退役軍人だった。米国の退役軍人は2340万人で、18歳以上の人口の11%に過ぎない。
調査によると、退役軍人のホームレスには貧困家庭出身で低学歴の人が目立ち、戦闘での負傷や心の問題を抱えている。
イラク、アフガニスタンでの戦争経験者が占める割合は不明だが、米メディアによると、復員軍人省の調査で少なくとも400人が確認されており、さらに1500人がホームレスとなる瀬戸際にあるという。
支援団体関係者は、イラク戦争経験者がホームレスとなるペースが過去の戦争より早い点に懸念を示している。退役軍人の約3割を占めるベトナム戦争経験者の場合、ホームレス問題が顕在化したのは戦後10年ほど経過してからだった。
毎日新聞 2007年11月9日 10時36分 (最終更新時間 11月9日 11時38分)