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【主張】混合診療 患者のため改めて議論を

2007.11.9 03:26
このニュースのトピックス主張

 「混合診療」に保険適用を認めた初の東京地裁の判断が注目されている。

 健康保険で治療してきた患者が、保険で認められていない治療を併用するいわゆる混合診療を受けると、それまで保険がきいていた治療まですべて自費で支払わなくてはならない。これが混合診療の保険適用を禁止する国の制度だ。不合理である。

 東京地裁は「保険診療に保険外診療(自由診療)を併用した場合、保険が適用できなくなるとの法的根拠は健康保険法などには見いだせない」と法解釈上、この制度を否定した。

 これを機会に混合診療の是非と在り方を改めて議論すべきである。

 国は「健康保険は安全性や有効性、普及性の水準が保証された医療に適用され、併用は一体の医療行為とみるべきで、保険診療に当たらない」との立場をとっている。

 日本は戦後、国民皆保険というだれもが良質な医療を受けられる体制を目指し、世界に誇る長寿を実現し、乳幼児死亡率の低下にも成功した。しかしながら、国民の生活レベルが向上した結果、健康に対する意識が強くなり、医療に対するニーズは多様化し、公的保険診療だけでまかない切れなくなっている現実もある。

 このため、昭和59年に一部の高度先進医療などに例外的に混合診療を認める特定療養費制度を始めた。平成16年には政府の規制改革・民間開放推進会議が混合診療の解禁を求めたが、実現しなかった。2年後の18年には混合診療の枠をさらに広げる保険外併用療養費制度が導入された。

 原告は「混合診療が認められないと患者の全額自己負担になる。経済的に望む医療が受けられず、命を落とすこともある」と全面解禁を求める。しかし、厚生労働省は「保険外診療の未承認の治療だと、患者が不利益を受ける」と反対し、日本医師会も「貧しい人は限られた医療しか受けられなくなる」と主張している。

 医療界には「一定のルールのもとに認めるべきだ」とか、「高額な医療行為で利益ばかり追求する医療機関も出てくる」との声もある。

 医療は患者のためにある。混合診療を議論するにも、この大原則を忘れてはならない。

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