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PRIDEバブル崩壊を認識すべきなのに…

 「まるで詐欺に遭ったような心境」と語るのは、PRIDEに出場していた選手だ。

 同団体と交わした契約が残っているせいで他団体に出場することもできず、選手としては休業を余儀なくされているのだ。UFCオーナーに買収されたことで契約自体は新会社に移ったが、この新会社は今月4日に事務所を閉鎖。「興行開催が不可能となった」と再開断念を発表した。

 「でも契約は残るので年内は他で試合をできない。先に受け取った契約金とは別に “複数試合でファイトマネーがいくら”という契約内容で、試合がなければ収入はゼロ。破棄すれば契約金を返却し違約金まで発生してしまうので、ただ待つだけになる」

 この選手のもとには、新会社のオーナーであるUFCから「同じグループ内だから契約をそのまま移行できる」というオファーがあったというが、「驚いたことにPRIDEと交わした額の4分の1のファイトマネーを提示されてしまった」という。

 「呑まなければ放置するだけだと半ば脅しのようでした。既にPRIDEからUFCに移籍した知人選手に聞いたら、彼はPRIDEと同額だったという。僕の商品価値を低く見られたということでしょうね」

 最近になって日本人選手数名が続々とUFC転戦を決めているが、「おそらくは減額での出場に応じた人たち」だともいう。実際、吉田道場の中村和裕は昨年10月のPRIDE米国大会で約12万ドルを手にしていたが、9月の「UFC76」では6分の1の2万ドルだったと伝えられている。選手によって契約内容に差はあるようだが、五味隆典など浪人状態にある選手はこれを良しとしていないようだ。

 ある日本人選手は対抗馬のHEROS’から声をかけられたが、こちらもPRIDE時代から遥かに低い額だったからと保留にしたという。

 ただ、そのHEROS’関係者に言わせれば「今は視聴率が低迷していて予算の捻出も大変。一時のギャラ高騰がバブルだっただけで、その数字を持ち出されても困る」と反論する。

 年内には満了を迎えるというPRIDE契約が終了次第、残党が集結して興行を行う噂もある。だが、仮に実現してもPRIDE時代のような高額ファイトマネーが貰えるとは到底思えない。選手たちは格闘界のバブルが弾けたことを認識せねばなるまい。
 (格闘技ジャーナリスト 片岡亮)(2007.10.16紙面掲載)


投稿日: 2007年11月01日

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