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’07大阪市長選:巨大都市を問う/1 生活保護費、歳出の15%

生活保護費を受け取るため、行列を作る市民ら=大阪市西成区で1日、梅村直承撮影
生活保護費を受け取るため、行列を作る市民ら=大阪市西成区で1日、梅村直承撮影

 ◇「優しき街」財政悲鳴

 「病院の支払いは生活保護で見るけど、退院後のことは考えときや。西成に行ったら、NPOが面倒見てくれるから」。大阪狭山市の病院に網膜はく離のため入院していた日雇い労働の男性(61)は8月、市の担当者からこう言われ、大阪市西成区に移った。生活保護が認められ、1人アパートに暮らす。「不安で眠れず、飛び降り自殺をしようかと考えた」と振り返る。

 7月から堺市で日雇い労働の会社寮に住み、建設現場で働いた。右目失明の恐れがあると判明したが、入院費がなく、堺市に生活保護を申請。市は寮に居住実態があると認めず、書類を突き返された。途方に暮れる男性に担当者は「大阪狭山市に電話しとくから」と話し、入院だけはできた。大阪狭山市は「府南部は住居不定者を受け入れる自立支援施設がなく、やむなく西成区の支援団体を紹介した」と話す。

 日雇い労働者の町・あいりん地区がある西成区は、全世帯の4分の1が生活保護世帯。申請者は多く、区は相談や手続きのノウハウを持つ。入居時の保証金が不要なアパートも多い。市外の自治体窓口が、生活保護の相談者に大阪までの電車賃を渡し、追い返す例も後を絶たないという。職員は「違法な対応を受けたと分からず、最後に西成にたどり着く高齢者も少なくない」と憤る。

    ◇

 1日午前8時すぎ。西成区役所の3カ所の入り口を約300人が取り囲んだ。毎月の生活保護費を現金で受け取ろうとする人たち。8時半に自動ドアが開くと、小走りで4階の特設会場を目指す。エレベーターには長い列ができた。

 「一刻も早くもらって安心したいから並ぶんだ」。元漁師の男性(60)は話す。静岡県焼津市を拠点に約30年、船を出した。2年半前、若い船員が辞めて廃業し、西成に来た。1年半前、現場で土木作業中に倒れ、左半身がまひした。以来、生活保護費で4畳半のアパート暮らし。家賃と食費を引くと、残るのは月1万~2万円。「話し相手はテレビだけ。区役所に詰めかけた人の中で今の生活に満足している人はおらんよ」とつぶやいた。

 35年間日雇いで働いた男性(73)は結核を患い2年半前から生活保護を受ける。「近所は年寄りばかり。話はしないけど心細い気持ちはお互い分かる」。兵庫県加古川市出身の男性(86)は「このまちは、わしらみたいな独りぼっちの人間には住みやすい」と語った。

 「ひったくりが多いから気をつけて」。職員の声を背に男性らは帰って行った。支給額は1日だけで約3億9000万円。区役所を出た途端、スーツ姿の貸金業者に紙幣を渡す人もいた。

 大阪市の生活保護費は全国最多の2311億円(06年度普通会計決算)に上り、歳出の約15%を占める。うち市費負担分は個人市民税総額の半分に達する。受給者の高齢化が進み、今後も支出が増えるのは確実だ。大阪市の財政当局は「誰がどこまで負担すべきなのか。行財政改革では対応できない。生活保護制度の抜本的改正を国にお願いするしかない」と頭を抱える。

   ×  ×

 ビジネスの街であり、約260万人の生活の場でもある大阪市。財政規模が全国一の巨大都市は、財政危機の真っただ中にある。18日の市長選投開票を前に、その実像と課題を追った。

毎日新聞 2007年11月5日 大阪夕刊

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