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小沢氏、連立急ぎ孤立 総選挙情勢も影響 辞意表明

2007年11月05日07時34分

 参院選大勝の勢いで、政府・与党を追いつめるはずだった民主党の小沢代表が突然、代表職を投げ出した。福田首相から打診された大連立構想に対する党内の反対を「不信任」と見なし、「民主党は次期総選挙で勝利は厳しい」と言い放った。これまで数々の政界再編を仕掛けてきただけに、党幹部らは小沢氏の離党や新党結成を警戒し、慰留に懸命だ。

 「我が党はまだ若い。これを機会にみんなで議論して、本当に国民の期待に応えられる力強い民主党になってほしい」

 小沢氏は4日の記者会見で、政権交代をかけた次の総選挙を前に代表を辞める理由を聞かれ、こう説明した。

 一方で、小沢氏は「国民から『自民党はダメだが、民主党も本当に政権担当能力があるのか』という疑問が提起され続けている」。党の現状を「さまざまな面で力量が不足している」「あらゆる面でいま一歩」と言い切った。

 首相からの連立提案を受けて、民主党内には動揺もあったが、小沢氏が役員会の総意を受けて「拒否」を伝えたことでこの問題は決着がついたはずだった。

 小沢氏の求心力の低下を危惧(きぐ)する見方に対しても、幹部の間では「党に持ち帰って検討するという民主的な手続きを踏んだことで問題はない」とかばう声が大勢だった。

 しかし、連立を呼びかけたのが実は小沢氏側だったなどの情報が飛び交う中、「ぶれたとしたら党首としては失格」(枝野幸男元政調会長)と、「壊し屋」小沢氏への不信感もよみがえった。

 小沢氏は会見の直前、慰留する幹部に「私は役員会で不信任を受けたも同然だ」と言い続けた。

 小沢氏は会見で、連立協議に応じる理由のひとつとして、「次期総選挙での勝利は厳しい」と判断していることをあげた。参院選の大敗を受け、与党内では「次の総選挙は厳しい」との見方が一般的だが、「地力がものをいう衆院選で、過半数を割ることはないだろう」との見方もある。

 民主党の総選挙に向けた候補者の擁立作業は遅れ気味で、小沢氏自身、党首会談前に選挙担当議員に「総選挙が早まるかもしれない。擁立作業を急ぐように」と指示したばかり。10月下旬に地方行脚を再開した小沢氏は参院選大勝の要因となった地方の動きが鈍いことも感じていたようだ。

 小沢氏は次の総選挙を「政治家としての最後の戦い」と位置づけており、政権交代を実現できなければ政治生命を失いかねない。ある与党幹部は、小沢氏が大連立を模索した動機について、こんな見方を示した。「やっぱり次の総選挙に勝てないと思ったのでしょう。菅さんや鳩山さんには次があるが、小沢さんには次しかない」

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