主治医の報酬は1カ月当たり包括

 厚生労働省は11月2日、中医協基本問題小委員会に、後期高齢者を総合的に診る「主治医」の業務内容などについて考え方を示した。患者の同意を得た上で病歴・薬歴・受診歴などを総合的に把握し、継続的に診療を提供。また、基本的な生活能力などを把握するため、認知機能や意欲に関する総合評価の実施も組み込んだ。診療報酬上は、1カ月当たりの包括評価にする方向を提示した。厚労省は、この日示した案をもとに主治医の要件を具体化したい考えだが、一連の方向に対して日本医師会が反発したため、結論は出なかった。

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 厚労省はこのほか、主治医は患者1人につき1人とし、原則として開業医に限定する考えも示した。ただ、周辺に診療所がない地域では200床未満などの中小病院の勤務医も「主治医」として認めるという。

 厚労省案によれば、患者の同意を得た開業医がその患者の主治医になる。
 主治医は、評価・検査により患者の病状を把握。年間の診療計画に沿って継続的に診療を提供することとした。初診時に病歴や他の医療機関の受診歴、服薬状況などを把握する一方、患者が他の医療機関を受診した際には診療内容に関する情報をその都度共有する方向も盛り込んだ。
 このほか、認知機能や意欲などを年1回程度総合的に評価することや、血液検査や尿検査などを必要に応じて実施することも提案した。

 厚労省はまた、診療報酬上の評価を1カ月当たりの包括払いにし、血液検査などの点数は包括点数に含める考えを説明した。その他の検査については「今後、検討していきたい」としている。ただ、投薬などは包括しない考え。

 同省は、この日示した案をもとに主治医の認定要件を固めたい考え。ただ、竹嶋康弘委員(日医副会長)が「主治医は本来、患者が決めるもので、1人だけというのはあり得ない」などと強く反対したため、この日は結論が出なかった。

■後期高齢者の再診料、引き下げを検討
 厚労省はまた、これまで年齢にかかわらず同じに設定されてきた初診料(現在は270点)の点数を後期高齢者については引き上げ、既往歴などを把握しやすくすることを提案。さらに、再診料(病院57点、診療所71点)を引き下げる代わりに「継続的な医学管理」を評価することで、長期治療の経過観察などの実施を促す方向も示した。

 厚労省は、この日提案した主治医の役割について「すべての診療所で、すべての患者に対してやっていただこうとは考えていない」とし、原則としてこれらの役割を満たす開業医だけを主治医として評価する考えを説明。

 一方、初・再診料の見直しは「役割を担わないところにも当然、適用する」と述べ、主治医以外の診療所や病院なども対象にする方針を示した。


更新:2007/11/03   キャリアブレイン

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