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小沢さんの「ショック療法」か「自爆テロ」か

福田さんへ、民主党へ、国民へ

安住るり(2007-11-04 22:56)
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 11月4日の昼過ぎに、「小沢一郎民主党代表が、辞意を表明した」という緊急ニュースが流れた。

 どういうことか、と午後4時からあるという記者会見をテレビの前で待った。4時35分くらいに、小沢さんは元気そうに、「おやおや大変な数だね」みたいなことを口にしながら登場したので、期待が膨らんだ。

 「福田首相から提示された党首会談であって、決して自分から連立を持ちかけたなどということはない」と、同日の読売新聞などの憶測報道に対する強い怒りを、最後に語ったが、これが、突然の「代表辞任」という決断の引きがねになったようだ。

11月4日の記者会見で辞意を表明した小沢一郎・民主党代表(ロイター)

 「わたくしには全く取材せずに、自民党側からの一方的な情報操作を垂れ流す報道の体質」について、強い調子で非難していた。

 しかし、怒りに任せて感情的に代表の座を投げ出したということではない。冷静な計算があるに違いない。

 まず、会談を持ちかけた福田首相が、どんな「カード」を提示したのか、ということを、きわめて具体的に公表してみせた。

 「自衛隊の海外派遣の条件」について、小沢さんが言い続けている「国連の承認がある限り」ということを、福田首相が「受け入れる」と言ったそうだ。これは、自民党の従来の方針の大転換である。憲法解釈の大転換でもある。

 これを、福田首相は、自民党内で事前に協議したとは思えない。こういうことを民主党代表に提案した、ということについて、自民党右派から批判が出なかったらおかしい。

 また、インド洋での「給油活動」の再開について、自民党の「新法」の成立にはこだわらない、と福田首相は言ったそうだ。(じっさい、給油活動が停止されても日米の同盟関係には影響しない、とゲイツ国防長官が述べている。)

 そのかわり、自民党と民主党で、様々な緊急を要する国民生活にかかわる法律の成立を目指して「政策協議」をやろう、と福田首相は提案した、という。

 小沢さんいわく、「生活第一」を掲げて、参議院で勝たせていただいたのだから、そのときのマニフェストの内容を実現することが政治の責任である。

 そのための「自民党との政策協議」という提案は、検討の価値がある、と自分は考えた。しかし、民主党の役員会では、理解されなかった。これは、事実上の代表不信任と受け止める。

 次の衆議院選挙で与野党逆転すれば「政権交代」が実現するが、現状の分析では厳しいと思っている。

 ここで福田首相からの「政策協議」の提案を受けたほうが、自分の持論である「しっかりした二大政党制」の実現への近道であると考えた(ここは、記者には、ちょっと理解しがたかった)。

 記者からの質問への答えとして、

 「辞意を決断したのは昨日で、今朝、辞表を使者に届けさせた」
 「離党などということは、まったく言っていない。今後の政治活動については、ゆっくり考える」
 「いち議員として、次の総選挙には全力を尽くす」
 「民主党代表の後任とか、民主党が自民党との政策協議を検討するかどうか、というようなことは、辞意を表明した自分がどうこう言うべきではない」

などと述べた。

 民主党としては「慰留する」ということで固まっているようだが、小沢さんの辞意を撤回させるのは難しいのではないか。

 小沢さんは、政権交代が実現しても彼自身が総理大臣をやるつもりはないだろう、と私は思っていたから、こういう「奥の手」も使えるのだな、と理解できる。

 しかし、彼の「辞意」の本当の意味を一般国民がどれだけ理解するか、未知数だ。

 一方の、民主党に揺さぶりを掛けたつもりの自民党が、小沢さんの「逆襲」を受けて、どう対応するか。

 なにより、民主党の執行部は、小沢さんの「自爆テロ」とも言える「ショック療法」に耐えられるかどうか、腹の据わり具合を試されている。

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