林真理子さんの二枚舌           (ブログ06年03月11日)

林真理子さんを今さらどうこう言うつもりはなかった。
ダメな人でどうでもいいと思っていたから。

でも、『朝日新聞』にある「朝日求人情報エー・ステージ」という、仕事について有名人が語るミニエッセイ(06227日)で、次の様に語っていたのでひとこと。

朝、働く女性たちがちゃんとメークアップして満員電車に乗っているのを見て働く覚悟を感じる、若いサラリーマンががんばっているのを見ると涙がでそうになる、辛いだろうけどがんばれ、といった話のあとに続く言葉。

「『オレは満員電車には乗れない人間だと思ったから、勤めて3日で辞めたんだよ』なんて自慢げにいってるヤツ。フリーになって成功した人の美談のような伝わり方をするけど、何十万人、何百万人がみなその満員電車に耐えて仕事をしているのです。そういう人々を否定したり、馬鹿にしたりする考え方には不快感を覚えますね。」

おー、まったく正論を言ってるじゃないの、林さん。
と思ったよ。

でもさ、あんたは、いつもあちこちで、高級ワインの話を書いている。デートする相手がどれくらい高いワインを私のために頼むかで扱いがわかるといって、男に高いワインをおごってもらうのが当然と思っている。かなり高級じゃないと、ダイエットのために3口しか飲まないそうだ。ちなみに、彼女が3口しか飲まないワインも、僕にとってはめちゃくちゃ高いクラスのものだろう。

つまり、彼女は、口先だけってこと。

先の仕事観の話もまさに、「政治的に正しい」政治家的ワンパターンのお話。言い換えれば、自民党的美談。

上記の一見まともな話も、林さんのようなお方が話すときの、その真実の意味は、「庶民は庶民として、満員電車でも、低賃金長時間労働でも、不満を言わずにがんばりなさい。それをほめてあげますよ」ということ。

自分は決して、時給800円のパートタイマーではない。1食何万円もする食事(もちろん高級ワイン込み)をして平気。
それを男におごってもらうのを自慢することを恥じない感覚。むしろ自分の「女としての価値が高い証拠」とよろこぶ。何度も何度も。男に求められることを、はたで見ていて辛いほど求める。イタいひとだ。年収はすごいから、高いワインを自分でも飲めるが、それを男におごってもらうということが彼女にとってはとても大事。ワリカンはいや。男にどれほどお金を使わせるかで、その女の価値は決まる。男の人にお金を使わせなければ、執着心を持ってもらえない。
でも、彼女の売りはこの本音。それが正直なところなのよ、オホホ、と。さすが、るんるんといっていた元祖正直ねーサンだ。

で、これは、古臭い懐かしい言い方だが、やはり、トホホである。

満員電車の話をする自分が、タクシー通勤できるほどのカネでワインを飲んでることを自慢してるよ。自分は超金持ち。

同情するならカネをくれ。満員電車に乗っている庶民のことを少しでも思うなら、非正規雇用労働者の不当な扱い、低賃金・差別待遇を改善する法制度改革に言及してくれよ。同一価値労働同一賃金、間接差別禁止、雇用形態差別禁止など、本当の改革を提起してみたら?

でももちろん、林先生は、大金持ちであり、保守派であり、自民党大好きな人である。「歴史教科書を作る会」なんかにも参加したりしてたし。皇室の話題が大好きで、キコさんが妊娠したら「奇蹟が起こった」「皇室の底力を見せていただいた」と大喜び。
だから決して、財界の利益に反するそうしたことは言わない。庶民の生活を少しでも良くする具体的改革は言わない。フェミニズムは大嫌いで、ジェンダーフリーなど、安倍先生と一緒にたたきまくる人だ。

同一価値労働同一賃金というような均等待遇改革をいわずに、ワインを飲んで、「オレは満員電車には乗れない人間だ」と言う人間を批判して、点数稼ぎする。人気があったほうがいいモーン。

これを偽善というんじゃないの。あるいは、ご立派。林さんの生き方全体が、「私はお安いワインなど飲めませんわ、満員電車にのって低賃金で働いてられませんわ」という類のニンゲンじゃないの。批判してる人と同じジャン。

私のような有名人とデートできて、こんなVIPなお席につけて、貴方もうれしいでしょ。と書ける人。

だから「エーステージ」のような生き方に行き詰まっている庶民が読むところでは、ちゃんと、「女としても社会人としても勝ち組になった私は何万円もするワインを飲んでるけど、庶民は庶民としてがんばっているわねー。すごいわ。貴方たちも努力して私のような地位を目指しなさいよ。ま、無理でしょーけど。(笑)」と強烈なハッパをかけていただきたいもんです。

 

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