東京都練馬区在住 2歳半になる喘息児(男子)を持つ母です。
1歳3ヶ月の時、喘息の発作を起こし、一時的に良くなったものの、1歳5ヶ月〜10ヶ月の間に6回入院しました。昨年10月に退院してからは、体力もついて来た来たためか、1度救急で点滴を受けた位で、少しゼイゼイが出るくらいで喘息の症状としては落ち着いてきています。
さて、現在処方されている薬は、次のとおりです。
(内服薬)オノンドライシロップ、テオドールドライシロップ、ゼスラン、ムコダイン、エリスロシンドライシロップ(→これはもうすぐ中止です)
(吸入薬)インタール、ベネトリン、フルタイド(1日2回)
※フルタイドの前に2ヶ月ほどベコタイドを使用。
最近、フルタイドで急性副腎不全の起こりやすい、意識障害が生じるといった記事を目にしました。
まだ2歳半という年齢ですので、今後の成長、副作用がとにかく心配です。
吸入ステロイド剤については、喘息に関する書籍を読み、主治医とも話をし、納得した上で使用していますが、「副作用が少ない」という事も大きな理由の1つでした。
是非とも清水先生のご回答をいただきたく、お願いいたします。
「フルタイドで急性副腎不全の起こりやすい、意識障害が生じるといった記事」は私たちの掲示板でも紹介されていました。
みなさんお元気そうで、何よりです。 投稿者:ゆりかっち 投稿日:2004/05/14(Fri) 15:03 No.5357
先日10日でしたか、読売新聞に「吸ステ」の副作用についての記事が出ていました。イギリスでの発表だったのですが、低血糖、意識障害、けいれんを起こす副腎不全が現れ、うち一人が死亡とありました。
私たち喘息患者にとっての救世主も、やはり、薬品ですからね。気をつけないといけませんよね。
というものでした。私はまだその記事について正確に読んでおりませんので、正確なコメントはできませんが、吸入ステロイドも大量に使えば、全身性ステロイドと同じように副作用の出ることはよく知られた事実ですから、全身性ステロイド剤よりははるかに頻度は少ないとはいえ、起こる可能性はあり得ると思います。
しかし保険で認められた範囲で通常の使用量であれば、そのようなことが起こることはないと思われます。全身性ステロイドよりも副腎に対する影響は吸入ステロイドははるかに少ないのです。
二歳半で体重はどれぐらいでしょうか。フルタイドはどのような吸入方法で、一日量何マイクログラムをどれぐらいの期間使ってきたのでしょうか。それを聞かせていただいて、薬局の方に回答してもらいたいと思います。
血液の検査をする機会があれば、血中コルチゾールを調べてもらえば副腎機能がわかります。その結果も分かれば教えてください。
以上二つの点を感想とともに書き込んでいただいた上で、再度コメントを差し上げたいと思います。そうでないと一般的な回答しかできないからです。
清水先生、こんにちは。
ご回答、ありがとうございます。
早速ですが、ご質問いただきました事項について解答いたします。
息子の体重は、12.4kgです。
フルタイドについてですが、「フルタイド50エアー」を1日2回(朝・夜) 1回に付き1パフでエアロチャンバーを使用して吸入しています。
何マイクログラムかは、分かりません。すみません。
吸入ステロイド剤を使用し始めたのは、平成15年6月25日からで、その時は「ベコタイド」を使用していました(6/25-7/14まで1日3回 1回2パフ)。
その後、フロンの関係からフルタイドに切り替わりました。
切り替わった時期は、平成15年7月18日です。
ですので、現時点でフルタイドを使用し始めて10ヶ月になります。
血液検査についてですが、平成16年1月にアレルギー反応を見る事と貧血の具合を見るための検査を実施しました。
その時の検査結果の詳細は・・・すみません、手元に資料がないので、改めてご報告いたしますが、簡単にご報告しますと、アレルギー検査項目の全てについて、「陰性」でした。
卵白が平成15年6月の検査では擬陽性だったのですが、それも陰性でした。
貧血は正常値に近づいたとの事でした(これでインクレミンシロップの服用がなくなりました:服用期間 10/13-3/30)。
今度の通院時に血中コルチゾールの検査をその時にしていたのか、聞いてみます。
また、検査していなければ、検査をお願いしたいと思います。
現在の状況ですが、今年に入ってから風邪をひいて少しゼイゼイが出る事が3回ありました(去年は、風邪をひいたらすぐにゼイゼイが出て、中発作に至る事がありました)。
去年までと比較しますと、症状は確実に改善しています。
しかし、普通のお子さんと比較しますと風邪はひきやすく、治りが遅い気がします。
今も、10日ほど前から風邪をひいていまして、鼻が少しと痰が多いという状況です。
以上から、喘息の改善が見られており、私たちも喜んでいた矢先にフルタイドの副作用に関する記事を読み、今までやってきた治療が否定されたような思いにかられ、また今後、どのように対応すべきなのか非常に心配です。
ご回答の方、どうぞよろしくお願いいたします。
清水先生からの依頼がありましたので補足させていただきます。
まず、この年齢で吸入ステロイドを導入することになったと言うことは軽症気管支喘息ではないと自覚する必要があります。吸入ステロイドの小児に対しての長期副作用に関しては確かに様々な意見があり、まだ、何とも言えません。但し、決められた範囲内の量での使用であれば副腎不全・成長障害などの重篤な副作用は心配なさらずともよいと考えます。それよりも吸入ステロイドを使わずにひどい発作を繰り返すことでお子さんの呼吸機能の成長が妨げられることの方が問題であろうと思います。
実際、フルタイド50を1日2回であれば標準的な治療であり、しかもスペーサーを用いて使用している辺りは今の主治医の先生をご信頼されてもよいと思います。今の状況から言ってしばらくは続けられたらよいのではないでしょうか。
吸入ステロイドを使って初期症状としてよく見られるステロイドの副作用は異常に食欲が増すと言うことがあります。どうですか?もちろん、清水先生の言うとおり、ご心配であれば副腎機能をチェックしてもらえばよいと思いますが、おそらく異常はないと思います。参考になれば幸いです。
がんばって、治療を続けてくださいね。
グラクソ・スミスクライン株式会社、西日本サポートセンターに問い合わせ、文献をFAXしてもらいました。この資料は吸入ステロイド薬の全身副作用、特に急性腎不全症状の実態を明らかにするべく、英国で行なわれた全国アンケート調査結果の報告です。お問い合わせの報告と同一のものかはわかりませんでした。
報告では死亡例についての記載がありませんでしたが〈視床下部 →下垂体 →副腎機能検査で異常〉が認められた小児25例は全員がフルチカゾンを使用していました。(うち1名はベクロメサゾン併用)1日使用量が小児で500〜1000μgと全例で高用量を使用していました。
急性副腎不全は圧倒的に小児に多く、症状は低血糖症状としての昏睡やけいれんでした。英国の喘息管理ガイドラインでは5歳以上であればフルチカゾンで1000μgまで可とされています。
さて、現段階ではご使用の1日100μgのフルチカゾンの吸入ですが、コントロール良好であればすぐにやめて他剤に変更する必要はないと考えられます。理由として、1)突然の中止はかえって危険である事。(特に血中コルチゾール値が低下している場合は上記の低血糖症状が起こりやすい。)、2)報告にあった例より用量が少なく現段階では問題なしと考えられること、を挙げさせて頂きます。ちなみにグラクソ社は「用量、用法を守れば(絶対とは言えないが)問題ないと思われる」との返事でした。
今後の対応ですが、可能ならば血中コルチゾール値を測定されて正常である事を確認された後、他の吸入ステロイド(ベクロメタゾン、ブテゾニド)に変更されては如何でしょうか?その時も無理のないよう時間をかけての切り替えをお願いいたします。
清水先生、高村先生、針田先生、こんにちは。
ご回答、ありがとうございます。
回答を拝見し、特に英国での死亡例等のフルチカゾンの使用量が息子に比べて5〜10倍であったと言う事実を知り、息子の1日100μgという使用量の適正さから少し安心しました。
スペーサーの使用指示を含め、現在までの約1年間お世話になっている主治医については、更に信頼性が高まりました。
次回の診察時(6月15日予定)に今回の件についてお話し、血液検査の必要有無等、結果をこちらに改めて掲示させていただきます。
その際には、またアドバイスをいただく事もあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
高村先生にご指摘いただきましたが、息子は「軽症気管支喘息ではない」としっかり自覚しております。
1年前は確か病院のベッドの上で、点滴を受けていたと記憶しています。
それが、今では元気に保育園へ通い、普通の子供達と同じように運動(遊び)ができるまでに回復しました。
今年に入ってからは、水疱瘡でお休みしただけで皆勤賞に匹敵するくらいです。
昨年の5〜12月までの入退院を繰り返す(計6回)と言う状況では考えられなかった事です。
吸入ステロイドを使わずにひどい発作を繰り返すことで呼吸機能の成長が妨げられることの方が問題であり、そして、病院のベッドの上では得られない運動機能や身長・体重といった成長そのもののが阻害される事の方が大問題であると認識しております。
家庭の環境整備も不十分な面もあるかもしれませんが、改善してきました。
これからも気を抜かず、家庭の環境整備を行ないつつ、息子の成長を見守りたいと思います。
少しずつですが、薬が減らせるよう家族で協力し合って参ります。
今回の件では、清水先生、高村先生、針田先生には、適切かつ迅速な回答をいただき、本当にありがとうございます。
また、同じ不安を抱かれていた方もいらっしゃったと思います。
参考になれば幸いです。
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