【11月1日 AFP】帝王切開による分娩は通常の分娩に比べ、妊婦が死亡したり健康障害を起こすリスクは2倍以上になるが、逆子の場合、赤ちゃんが助かる確率ははるかに高いという研究結果が31日、英医学誌「British Medical Journal」のインターネット版に発表された。
オックスフォード大学(Oxford University)で産婦人科学を研究するJose Villar氏のチームは、2005年の世界保健機関(World Health Organisation、WHO)の統計で、アルゼンチン、ブラジル、キューバ、エクアドル、メキシコ、ニカラグア、パラグアイ、ペルーの各国で行われた帝王切開3万1821件と通常分娩6万2486件について調べた。
その結果、母親が出産で死亡する確率は、通常分娩で1.8%、予定された帝王切開で5.5%、緊急の帝王切開では4.0%となり、帝王切開で妊婦が死亡する確率は、通常分娩に比べて3-5倍に上った。健康障害を起こす確率はさらに高く、子宮摘出のリスクは4倍、集中治療室に入る確率は2倍だった。
しかし、帝王切開で赤ちゃんの命が助かることもある。胎児が逆子だった場合、通常分娩だと9.69%が死亡したが、予定された帝王切開では0.96%、緊急の帝王切開では0.69%の死亡率にとどまった。
一方、頭が先に出てくる正常な向きの胎児の場合、死亡する確率は通常分娩で0.38%だったのに対し、予定された帝王切開では0.77%、緊急の帝王切開では0.65%となり、帝王切開の方が通常分娩に比べて死亡する確率が高かった。
研究チームは報告の中で、世界各地で帝王切開が激増しているため、この手術の必要性や効果について調べることが急務になっていると解説。逆子の場合は帝王切開手術を勧めてもいいが、頭を下にした正常の向きの胎児では死亡や健康障害につながることもあると警鐘を鳴らしている。
途上国で帝王切開が行われる割合は、1970年代は約5%だったが、現在は国によっては50%を超す。これは通常分娩で問題が起きた場合の訴訟不安も一因となっている。(c)AFP
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