「診療報酬プラス改定など不可欠」

 厚生労働省が中央社会保険医療協議会(中医協)に報告した「医療経済実態調査」について、全国保険医団体連合会は10月31日、「医科診療所・歯科診療所の『収支差額』と『収支差率』は減少し、追い詰められていることが改めて浮き彫りになった」などとする見解を発表した。保団連は「診療報酬プラス改定と医療費総枠の拡大等が欠かせない」と訴えている。

 同調査は、厚労省が10月26日に中医協に報告。医科診療所(個人・無床)と歯科診療所(個人)の双方で、医療機関経営の指標となる「収支差額」(事業所収入から費用を差し引いた額)が減少し、収支差額が医業収入に占める割合を示す「収支差率」も減っていることが分かった。
 収支差額は、医科が前回比マイナス2.1%の222万円、歯科が同9%減の122万円だった。一方、収支差率も医科・歯科ともに前回調査より2.4ポイント減少していた。
 1989年の調査では、医科・歯科のいずれも収支差率は40%を超えており、その後は減少傾向にある。公表されている収支差率の階級別割合を見ると、医科の平均は35.8%。「40%未満」が全体の半数を超える約53%に達し、うち「20%未満」が21.6%に上った。また、歯科は平均35.6%。「40%未満」が全体の約48%となり、うち「20%未満」が16.2%を占めていた。

 こうした結果を踏まえ、保団連は「個人立の医科・歯科診療所は、収支差額と収支差率のいずれもが減少し、経営規模が縮小傾向にあり、医療の質の確保と安全な医療の保障が揺らぎかねない状況まで追い詰められている」と指摘。その上で「次回の診療報酬改定に向けて、病院勤務医の労働環境改善のために、診療所の初診・再診料を引き下げ、それを原資に夜間・時間外加算を充てんし、開業医に夜間・時間外診療を担わせようとする案が浮上している。病院に厚く診療所にしわ寄せという改定では、病院と開業医の無用な対立を招きかねない」と危惧している。

 このような観点から、保団連は「国民に安心・安全で信頼される医療を確保するためにも、診療報酬プラス改定と医療費総枠の拡大、患者負担軽減を強く求める」と主張している。


更新:2007/10/31   キャリアブレイン

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