現在位置:asahi.com>社会>その他・話題> 記事

撮影者はジョン万次郎 伊豆・旧代官家の武士写真

2007年10月30日01時14分

 静岡県伊豆の国市の旧家に保存されていた幕末の武士の写真が、中浜(ジョン)万次郎(1827〜98)の撮影と分かった。東京大学史料編纂(へんさん)所などが写真と旧家の文書を調べた結果、万次郎が遣米使節の通訳として咸臨丸で渡米し、帰国した直後の1860(万延元)年7月、米国から持ち帰った道具を使い、撮影したとみられる。

写真

中浜(ジョン)万次郎撮影と分かった江川文庫所蔵の写真(江川文庫提供)

 写真は江戸幕府の代官で、静岡県・韮山(現伊豆の国市)を拠点に駿河、武蔵、相模などを支配した江川家の史料を集めた「江川文庫」からみつかった。ガラス板を使った湿板写真で縦8.4センチ、横7.1センチ。人物の特定はできていないが、江川家に出入りしていた小沢太左衛門ではないかとみられている。

 写真の撮影は包み紙の「万延元年七月十六日夕七ツ時写真シ奉ル事」との記述から同時期と判明。さらに、江川家江戸屋敷の来客などを記録していた「御出府日記」の中に、1860(万延元)年7月、万次郎が写真鏡(写真機)を使い、延べ3日間にわたって写真を撮ったとの記述が残っていたことが分かった。

 幕末維新史が専門で、今回の調査に携わった保谷徹・同編纂所教授は「万次郎は日本人として初めて本格的写真技術を持ち込んだ人物であるとともに、個人的記録として写真を残す写真文化を移入し、広めた人物ということができる」と今回の成果を話している。

この記事の関連情報をアサヒ・コム内から検索する

PR情報

このページのトップに戻る