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生活保護世帯の家賃・給食費、滞納防止へ「天引き」促す

2007年10月28日06時05分

 生活保護費として支給された学校給食費、公営住宅家賃、介護保険料の一部が納付されていない実態が会計検査院の調べでわかった。05、06年度の2年間分について、全国の約1割の福祉事務所でサンプル調査した結果、給食費の未納者は3割を超え、家賃や保険料と合わせると計5億5000万円になる。検査院の指摘を受けた厚生労働省は都道府県などに対し、福祉事務所による代理納付制度の活用などを求めた。しかし、代理納付は事実上の差し押さえになるため、100万を超える生活保護費受給世帯への影響は大きく、導入には慎重な意見もある。

 生活保護費の一部である給食費や家賃などは、受給者が必要とする金額の実費を福祉事務所が支給し、受給者本人が納付するのが原則となっている。一方、代理納付は、福祉事務所が「天引き」し、本人に代わって支払う制度で、06年4月から受給者の同意を得なくても事務所の裁量で実施できるようになった。

 検査院は、全国1242の福祉事務所のうち、約1割の126カ所で抽出調査を実施し、教育扶助の一部として学校給食費を受給している5600人、住宅扶助を受けて公営住宅に入居している9万世帯、生活扶助に介護保険料加算を受けた15万人について調べた。

 その結果、学校給食費は32.1%にあたる1800人が総額4200万円を、公営住宅家賃は9.7%の8800世帯が同4億4900万円を、介護保険料は4.5%の6800人が同6500万円をそれぞれ納めていなかった。厚労省は「何に流用されているかは調査をしないとわからない」という。

 検査院は厚労省に対し、徴収する学校や担当部局と福祉事務所との連携が不十分だったため、納付状況が把握できておらず、指導も行き届いていなかったと指摘。必要に応じて代理納付制度を活用するよう求めた。

 これを受け、同省は今月5日付で各自治体に制度の活用などを求める通知を出した。代理納付の実施状況についても調査を始める方針だ。

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