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メタボの診断基準 変更の予定なし
日本肥満学会・緊急記者会見
現時点では妥当
2007.10.22
日本肥満学会(松澤佑次理事長・住友病院長)は19日、学会の会期に合わせて緊急記者会見を開き、現時点では、メタボリックシンドロームの診断基準は妥当との見解を表明した。現行の診断基準をめぐっては、ウエスト周囲径の妥当性が議論を呼んでいたが、新たなエビデンスが構築されるまで診断基準は変えない方針。来年度から義務化される特定検診・保健指導で広く活用して欲しい考えを示した。また、保健指導により心血管病をいかに減らすことができるか、検討していく姿勢も示している。
学会は、診断基準の数値が議論を呼んでいる現状を受け「メタボリックシンドロームとは?―メタボリックシンドロームの正しい理解―」と題した緊急メッセージを発表。あらためてメタボリックシンドロームの診断基準について理解を求めた。 メタボリックシンドロームの診断基準は、ウエスト周囲径男性85cm、女性90cm以上に加え、高トリグリセリド血症または低HDLコレステロール血症、血圧高値、空腹時高血糖の3項目のうち、2項目以上満たすこととされている。 松澤理事長は、診断基準が心血管病を予防する目的で設定されたことを強調。ウエスト周囲径の数値に批判が集まっているが、「現行の診断基準で心血管病の予防に問題が起こっているという意見は全くない」と説明する。そのほか、国民栄養調査でメタボリックシンドロームと診断された人の頻度の男女差は、日本人の心血管病の頻度の男女差と類似しているとし、診断基準の妥当性を強調する。
● エビデンスを集積し診断基準を検討
メタボリックシンドロームの診断基準にあるウエスト周囲径は、内臓脂肪面積100cm2に相当する値を算出したもの。欧米の診断基準とは逆に、男性より女性の方がウエスト周囲径が大きな値であることが指摘されていた。
日本肥満学会は、両者の大きな違いとして、日本の診断基準が内臓脂肪に基づいているのに対し、欧米では内臓脂肪のデータが十分でないため、BMIに基づいていることを説明した。その上で、ウエスト周囲径には、皮下脂肪と内臓脂肪の両方が含まれていることから、皮下脂肪の多い女性の方がウエスト周囲径が大きくなるとした。
内臓脂肪面積は、腹部CTでしか正確な数値を測定することができないが、手間やコストがかかるため、すべての医療機関で行うのは難しいのが現状だ。メタボリックシンドロームの診断基準策定時にも、この状況をかんがみて、ウエスト周囲径を診断基準にした経緯がある。 松澤理事長は一方で、「特に女性を中心に、診断基準の値は検討していく必要がある」との見解も表明。現行の診断基準を基に、心血管病の予防効果を検討する姿勢をみせた。現在のところ、エビデンスの集積を目的とした学会主導のプロジェクトなどはないものの、各地域のデータを集積していく考えだ。
● 数値にとらわれず疾患概念をとらえて欲しい
ウエスト周囲径の数値ばかり注目を集めがちだが、松澤理事長はメタボリックシンドロームが複数の危険因子を重積した病態であることをあらためて説明。コレステロールなどは、独立した心血管病の危険因子であることから、「数値だけにとらわれず、疾患概念としてとらえて欲しい」と呼びかけた。
そのほか、日本男性の半数がメタボリックシンドロームの診断基準に該当するため、医療費の増加が懸念される点については、「医療経済的にも効率的」(松沢理事長)との見方を提示。薬剤を用いずに、食事や運動などの生活習慣を改善するほうが医療費がかからないとした。
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