【ワシントン21日共同】1950年代に日本の左傾化を恐れた米広報文化交流局(USIS)が日本で行った世論工作を詳述した報告書が21日までに米国立公文書館で見つかった。左派勢力が強かった京都大学の教授陣を対象にした反共工作のほか、日本映画やラジオ番組の制作、出版物刊行をひそかに援助、米国が望む方向への世論誘導を図った実態が細かく描かれている。
報告書は、米政府情報顧問委員長(当時)を務めたエール大学の故マーク・メイ教授が59年、日本に5週間滞在しまとめた。フロリダ・アトランティック大学のケネス・オズグッド助教授が発見、冷戦時代の米対外世論工作をテーマにした著書「トータル・コールドウォー」の中で明らかにしている。
報告書によると、USISは(1)日本を西側世界と一体化させる(2)ソ連、中国の脅威を強調する(3)日米関係の強化で日本の経済発展が可能になることを理解させる-などの目的で、50の世論工作関連事業を実施。このうち23計画が米政府の関与を伏せる秘密事業だった。