衣料不況が示す消費減速ユニクロ、高島屋…未達が続出で「天気より景気」
カジュアル衣料業界の「2強」が、相次いで株式市場への約束を果たせない業績予想未達の決算を発表した。小売業界を襲う衣料不況、その背後には消費減速の影が忍び寄る――。 カジュアル衣料チェーン「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの2007年8月期決算は増収減益。売上高も業績予想未達に終わった。「思った以上に経費が膨らんでしまった。昨年の暖冬から続く天候不順も響いた」と柳井正会長兼社長は振り返る。新年度が始まった9月の既存店売上高も昨年同月比で12.9%減と、厳しい船出になった。 同じく衣料専門店を展開するしまむらは、8月中間決算で増収増益、かつ過去最高益だった。にもかかわらず、株式市場は売りに走った。一時は前日比1850円安の9410円をつけ年初来安値を更新、終値でも9%超落とした。営業利益が業績予想未達だったことへの失望売りだ。 「未達」を重ねたのは、衣料専門店ばかりではない。総合小売業にも相次いだ。ここでも足を引っ張ったのは、やはり衣料品分野だった。 百貨店では、高島屋の売上高が業績予想未達だ。紳士服、婦人服、子供服ともに売り上げが前年同期割れ。全社売上高の3分の1を占める衣料品部門の売り上げが2.9%落ちた。 総合スーパーでは、イオンが昨年同期比18%減と大幅な営業減益を喫した。岡田元也社長はその要因を「米カジュアル衣料事業の苦戦が利益を圧迫した」と説明。「国内事業でも衣料が厳しい」と渋面を作った。イオン単体の部門別売上高を見ると、衣料部門で、昨年比1.7%減と最も大きく売上高を落としている。 セブン&アイ・ホールディングスも売上高、営業利益ともに未達。村田紀敏社長は決算会見の席上、傘下のスーパー事業会社イトーヨーカ堂の決算について「胸を張れる内容ではないですね」との問いに、肯定の言葉を返さざるを得なかった。やはり衣料品での苦戦が影響し、3〜8月の既存店売上高を前年同期比で2.0%落としている。 流通各社の8月決算では、衣料専門店、百貨店、総合スーパーは軒並み苦戦し、コンビニエンスストアは業績予想をクリアした。両者の違いは「衣料品を取り扱うか否か」。8月決算で築かれた業績予想未達の山は、そのまま衣料不況の動かぬ証拠でもあった。 増税感が7月にずしり衣料品分野の不振に苦しんだ各社は、異口同音に「天候不順」をその原因に挙げる。かつてファーストリテイリングの柳井会長は「自社の商売にとって気がかりなのは景気より天気」と言い切った。その言葉の通り、昨年の暖冬、梅雨の時期の低温、初夏の猛暑、その後の長雨などの天候不順が衣料品消費を鈍らせたことは間違いない。 しかし、この衣料業界総崩れの原因を「天候だけだ」と理解していては、見誤る。なぜならば「天候不順のせい」という理由の向こうには、その言葉によって覆い隠されてしまった消費減速の兆候があるからだ。 その兆候はいつ始まったのか。 |
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