招き猫は、彦根藩二代藩主・井伊直孝が鷹狩の途中、猫に豪徳寺へ導かれ難を逃れた故事にルーツがあるとも言われ、その後、招福開運のシンボルとして広まりました。今回は、招き猫ミュージアムより厳選された約300点の作品を展示いたします。


招き猫ミュージアムについて 手長猫と手短猫

愛知県瀬戸市の招き猫ミュージアムは、「日本招猫倶楽部」の世話役をつとめる坂東寛司・荒川千尋夫妻の個人コレクション数千点を展示する、日本最大の招き猫博物館です。
「来る福招き猫祭り in 瀬戸」実行委員会のメンバーでもある陶磁器メーカー、株式会社中外陶園がミュージアムの建物を提供し、企画運営の主体をつとめています。

招き猫を見かけたら、あげている手の長さに注目してみてください。たいていは、顔の半ばか耳の横かで止まっているはず。たまにこの手がぐっと耳を越す位置まで伸びているものがあります。これを「手長」と呼び、挙げている手が長ければ長いほど御利益も大きいと言われています。
耳を越すような長い手は壊れやすいため、技術的にもつくったり運んだりするのが難しく、昔は貴重とされていました。耳より下に控えめに挙げた手なら、逆に身近に福をつかむことができるということです。

右手挙げと左手挙げ いろいろ福招き

一般的に、右手を挙げた猫は「金招き」、左手をあげた猫は「人招き」と言われています。「お金を受け取るのは利き手の右手だから」だそうな。「家は客商売のお店をやっているわけじゃないから」「どうせならお金を招いてくれたほうがいい」と最近は圧倒的に右招きが人気で売れ行きがいいそうです。また、お金も福も招くようにと、両手を挙げた「万歳招き猫」が出現しました。一歩間違えると「お手上げ」ともとられかねないのが難しいところです。豪徳寺の招福猫児(まねぎねこ)は、右手挙げだけど「人招き」という説もあります。

小判だけが招き猫の持ち物ではありません。開運招福につながるさまざまな縁起物を律義に捧げ持っています。
打ち出の小槌、小判が溢れんばかりのきんちゃく、達磨、大入額、大漁祈願の跳ね鯛、合格の札等々。こうして見ると、招き猫の縁起物としての実力が、何でも採り入れてそれなりに形にしてしまう柔軟性にあることがよくわかります。これも「手を挙げて招いている猫の置物」という基本形が世の中に定着しているからでしょう。