11月1日に浜松市中区から同市浜北区小林に移転する浜松赤十字病院(安藤幸史院長)の完成式が19日、移転先の新病院であった。「浜北区に分娩(ぶんべん)のできる総合病院を」と市民から要望を受けて移転するが、分娩に対応できる産科医が1人も確保できないなど、医師不足の課題を抱えてのスタートとなる。
新病院は病床が341床から312床に減るが、延べ床面積(2万6455平方メートル)は約1・8倍、駐車場の収容数(309台)は約2倍になる。ヘリポートや高度な放射線治療機器を導入するなど、浜北地区の医療拠点として約110億円をかけて整備された。
しかし、分娩施設がありながら必要な医師3人が集まらず、現時点では産科の運営はできない状況。同病院は「訴訟のリスクや激務などで全国的に産科医が不足しているあおりを受けた。東京の病院などにも声をかけ、これからも人材探しを続ける」と説明している。眼科や脳神経外科でも常勤医が確保できず、高度な手術には対応できないという。
同病院は1938年開設。新しい病棟でも築20年以上が経過し老朽化が進んでいた。このため旧浜北市が移転を推進。合併後の新市も、建設費や医療機器購入の補助金約17億円を拠出することになっている。
市健康医療課は医師不足について「どの病院も同じ課題を抱えており、特定の病院を直接支援するのは難しい」と話している。【竹地広憲】
10月20日朝刊
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