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【社会】

119番…緊急性低い患者を説得 搬送辞退6割超す

2007年10月20日 夕刊

 効果的な救急搬送をしようと、東京消防庁が全国で初めて六月から試験導入した「救急搬送トリアージ」。緊急性が低い傷病者には搬送を辞退してもらう試みで、開始三カ月の速報値では、辞退を要請した百九件のうち辞退したのは七十件(約64%)だった。同庁は「安易な一一九番の抑止に効果がある」と期待している。

 トリアージは「選別」を意味するフランス語が語源。二〇〇五年のJR福知山線の脱線事故でも、けがの度合いに応じて優先順位を決めたことがスムーズな搬送につながったとされる。この手法を同庁は日常の救急搬送に応用。年齢、脈拍、出血量など約二十項目を確認し、緊急性が低いと判断したら救急隊員が当人を説得して、搬送の辞退を要請する。

 辞退に同意するか、しないか。反応はさまざまだ。食器の破片で指を切り、出血に動揺して一一九番した三十代女性は、救急隊の到着時には出血が止まっていたため辞退に同意。一方、尻のおできの痛みを我慢できず救急車を呼んだ二十代男性は、辞退に同意せず搬送したが、結果的には軽傷だった。

 辞退があった場合の救急隊の平均活動時間は一件約二十分で、搬送した場合に比べ約十五分の時間の節約になったという。同庁では、年間約五千件の搬送削減を目標にしており、担当者は「救急車を呼ぶかどうか迷ったら、携帯電話からでも使える救急相談センター(#7119)に電話して相談してほしい。トリアージで、効果的な救急車の運用に理解を広げたい」と話している。

 

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