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制御棒1本抜けず 柏崎刈羽原発7号機 中越沖地震で

2007年10月19日00時59分

 新潟県中越沖地震で激しい揺れに見舞われた東京電力柏崎刈羽(かりわ)原発7号機(新潟県)で、核燃料の核分裂反応を抑えている制御棒のうち1本が動かなくなっていることが分かった。東電が18日発表した。制御棒は炉心にあり、最高の耐震性が求められる。こうした最重要機器で、今回の地震によると見られる故障が確認されたのは初めて。原因が変形や破損ならば、将来の運転再開論議に大きな影響を与えそうだ。

 東電によると、地震の影響調査の一環で制御棒を原子炉内から引き抜く作業を11日に始めた。205本のうち106本は引き抜けたが、18日午後に作業にかかった1本がどうしても引き抜けないことがわかった。落下防止のために制御棒に設けてある歯止めが引っかかったままになっているか、地震の揺れで機器自体に何らかの変形や損傷が生じた可能性もあるという。

 この制御棒に隣接する燃料はすでに取り出し済みで、制御棒自体も支持金具によって安定していることから、安全にかかわる状態ではない。

 ただ、制御棒の駆動装置には炉水が満たされており、原子炉内の水を完全に抜かないと内部の点検は難しい。故障の原因究明には相当、手間と時間がかかる見込みだ。最重要機器である制御棒周りで変形や破損が起きていれば、運転再開へのハードルはさらに高くなると予想される。

 東電は19日以降、残り98本の制御棒を先に引き抜き、その上で問題の制御棒の点検を進める方針だ。

 制御棒は断面が十字形で長さ約4メートルの棒状で、核分裂の火種となる中性子を吸収する素材でできている。7号機のような改良型沸騰水型炉では、原子炉の底からモーター駆動と水圧で押し上げられる仕組み。核燃料集合体の間に差し入れられると核反応が抑えられる。

 7号機は地震発生時に運転中で、地震に伴って全制御棒が自動挿入され、原子炉が緊急停止した。原子炉圧力容器のふたが閉まっていた6基の中で最初にふたを開けて、炉内の点検をすることになり、今月7日にふたが開けられた。その後、核燃料を順次隣にあるプールに移して、制御棒を引き抜く作業を始めていた。

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