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【主張】遺棄化学兵器処理 いったん中断して出直せ

2007.10.19 03:41
このニュースのトピックス知能犯

 中国で進められている遺棄化学兵器処理事業に対し、東京地検特捜部の捜査のメスが入った。処理事業を国から請け負っていたコンサルタント会社の元社長らが不正に資金を還流させ、会社に損害を与えたとする特別背任容疑である。

 この事業には、これまでに683億円もの税金がつぎ込まれたが、政府はその詳細を明らかにしてこなかった。コンサルタント会社に言われるままに予算を計上し、十分なチェックを怠ってきたといわれる。ズサンな会計処理の下で、不正が行われていた疑いが強い。闇の部分にまで踏み込んだ検察当局による徹底解明が待たれる。

 内閣府の遺棄化学兵器処理担当室には、防衛省からも化学兵器の専門家が出向している。遅きに失したとはいえ、内閣府は683億円の使途を再チェックし、結果を公表すべきだ。

 もともと、この事業は中国側の言い分をほとんど受け入れる形で始められたものである。

 中国は平成4年4月に「遺棄化学弾の廃棄責任は日本にある」と表明した。日本はこれを受け、5年1月に化学兵器禁止条約に署名し、7年9月に批准した。その4年後に日中間で覚書が交わされ、日本が処理費用をすべて負担したうえ、将来の事故まで日本が補償することとされた。

 これには、宮沢内閣の官房長官と村山内閣の外相を務めた河野洋平氏(現衆院議長)が深くかかわっている。

 当初は、旧日本軍は化学兵器などを中国軍や旧ソ連軍に引き渡しており、「遺棄」に当たらないとする見方も政府内にあったが、河野氏は引き渡したことを証明する書類がないとして、中国に有利な処理策を推進した。これは現在の外務省に引き継がれている。

 しかし、最近、日本軍が中国軍に化学兵器の「あか筒」「みどり筒」などを引き渡したことを記した書類が防衛省防衛研究所などで見つかり、「書類がない」としてきた外務省や中国側の主張が破綻(はたん)しつつある。

 このまま中国の言い分をのみ続けると、日本側の負担は1兆円を超えるといわれる。とても納税者の理解は得られまい。東京地検の強制捜査を機に、福田康夫内閣は遺棄化学兵器処理事業をいったん中断し、内容を精査したうえで出直すべきである。

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