2007年10月19日22:20どこまでも白く(英日)
殺されそうだ。
イギリスとの関係が肉体関係となってから2人を取り巻いていた空気が変化した。
身体を重ねる前からなんとなく判っていたが、イギリスは嫉妬深い。兄の中国と同じかそれ以上か日本には判断がつかないが、とにかくも嫉妬心を丸出しにした。
「これからは俺のものだ」
初めて身体を重ねた後、酷く安心した声でイギリスが言ったのを日本は眠気で意識が飛ぶ前に聞いた。
よかったですね、日本はそう返してやりたかったが言う前に睡魔に襲われしまった。
なにもイギリスは口に出して日本を縛り付けることもなければ、殴ることもしない。
世間で言われているような、一日に1回はメールして報告しろ、なんて言われたことは1度もないし、メールや電話も誰だろうと好きなときに好きなだけできる。
出かけるときに付き合ってくれる相手も誰だろうと何も言わない。
もちろん、9対1の割合でイギリスと会うことのほうが多いのだが、イギリスは日本の好きなようにさせている。
が、しかしイギリスは無言の重圧で日本を縛り続けた。
一緒にいるときは必ず自分の目の届く場所に居ないと気がすまないらしく、少しでも側を離れるのを嫌った。
あまりにもぴったりとくっついてくるので、きっと周りは変な目で見ていることを日本は理解していた。だがイギリスは周囲の目を構うことは全くなかった。
夜のほうも激しかった。日本がぼろぼろと生理的な涙をこぼして何度もやめてほしい、と乞うのにイギリスはやめることはしない。
むしろその逆で、卑猥な言葉を日本に浴びせながら手荒く扱った。幾度も絶頂を迎えるのだがやめる気配は一向になく、結局は日本が気絶して終わる。
日本が気絶してもイギリスがやめているのかどうかは判らない。しかし次の日の身体の調子からいって、それ以降もしているのならば納得できた。
極めつけは2人きりになるとイギリスはすぐに日本に手錠をかけた。イギリスの家では手錠をされない日はないといって過言ではなかった。
手錠をして束縛された日本の両手首を見たイギリスは小さく、ほっと溜め息を吐く。
安心しているんだな、と日本は一瞬だけ張りつめた糸が緩んだのを感じて思った。それから手首を持ち上げて手錠を日本は少し、複雑そうに眺めた。
これがないと自分はイギリスを安心させてあげれないのだろうか。側にいるだけでは安心できないんじゃないのか。
じゃあ、自分はイギリスを苦しめているだけなんじゃないか。
さっさと家の中を進んでいくイギリスの背中を見て、日本は溜め息をついた。
両手首についている錘が心持ち、重さを増したような気がした。
「せめて首輪にしてもらえませんか?」
優雅に紅茶を飲んでいたことろで日本がなんの前触れもなく切り出した。
さきほどされた手錠は今はしていない。イギリスは日本が紅茶を飲むときとトイレ、風呂に行くときは必ず外した。
そういったときは手錠を外してくれるのだから、日本は強く言えることは何もなかった。
それに外すときのイギリスのがっかりした表情は見ていて辛いものがある。ゆえに日本はいつも負けた気分を味わった。
イギリスは一瞬なにか考えたあと、紅茶を一口飲んでから答えた。
「うん。そのほうが良いのかもな。なんだ、手錠は嫌いか?」
また哀しそうな表情を浮かべる。
日本は瞬時に動く自分の口に感謝した。僅かでも考えたならばきっとイギリスは自分に幻滅しただろう。
「いいえ。…ちょっとだけ、動きにくいものですから」
イギリスは満足そうに頷いた。
「日本が言うのなら仕方ないな。今度からは首輪にしよう。どんなやつがいいかな」
日本の首元を見てイギリスは目を細める。
手錠よりも見やすくていいのかもしれない、とイギリスは思った。けっして白いわけではない日本の首が美味しそうだった。
首に僅かに食い込んだ首輪、苦しくはないが自由がきかない首をしきりに気にする日本。節だった指が首に触れる様を想像して、イギリスは悪くはないなと思った。
「ありがとうございます。あまり苦しくないのがいいですね」
うっとりとしているイギリスにむかって日本は答えた。
庭に咲いている大量の薔薇がやけに目に付く。あれも日本を縛っている1つだ。
いつもイギリスが持ってくる薔薇。薔薇でなくても花の類やもの、これらは日本を縛り付ける要因となっている。
恐らくイギリス本人は意図してないのだろうが、日本からみればあれらは全て日本を身動きできなくさせていた。
愛情を込めて育てあげたイギリスの薔薇は彼に応えるべく立派に育ったのだろう。そこまでは日本は微笑ましい思いで見ていた。
花たちは育てる側の感情にも左右される。だからこれほどまでに見事に育てたイギリスに尊敬したのだが、イギリスが愛情を込めたのが自分の手元にくるようになってからは日本はすこし困った。
薔薇が重いのだ。質量もそうだがそれに込められた想いがどうしようもなく重く感じたのだ。
綺麗にラッピングされた薔薇を見て、日本はそこに含まれているものが自分の手に負えるものだといいな、と考えた。
幸か不幸かイギリスの想いはいまだもって日本の許容範囲内におさまっている。
どちらかというとイギリスがわざと日本が許容範囲におさめれるようにしていた。
「そうだ、次の週末は空いてたよな。今度どこかに行こう」
夢から覚めたような感覚でイギリスが言った。
首輪のことはもうどこかに消えていってしまったようだった。
「そうですね。どこに行きましょう」
「日本が行きたいとこはないのか?」
日本は首を傾げてから誤魔化すように紅茶を飲んだ。
イギリスが淹れてくれた紅茶は冷めていても美味しかった。飲み干した日本に向ってお代わりいるか、と聞かれ、はいと返す。
紅茶を淹れなおしている間にどこに行きたいのか日本は考えた。
今日本がいちばん行きたいのは東南アジアの後進国だ。行ってなにをするわけでもないが、あそこの料理が食べてみたかった。
しかしそこに行ったあとのイギリスの変わりようが大変だと思いなおした日本は無難な場所をあげることにした。
目の前には熱をもった紅茶が差し出された。ありがとうございます、礼を言ったあとに日本は続けた。
「遊園地とかどうでしょう?ちょうど時期なのでお化け屋敷にはいってみたいですね」
「お化け屋敷か。なるほど、面白そうだ!そこに行くか」
はい、日本は笑って答えた。その半面で不思議な感覚に浸かっていた。
イギリスが優しくしてくれるので頭の思考が鈍る。飴と鞭の絶妙な使い方に日本はイギリスには逆らえないのだと理解していた。
こうやってゆっくりと締め上げられる。日本の許容範囲内におさまるように、確実に束縛されていくのが判るのだ。
いまはまだ身動きはとれるが、しだいに雁字搦めにされて動けなくなり、時間をかけてイギリスに捕食されるのだろう。あまりにも自然で誰にも気づかれることはないから、自分は息をするのと同じくらい自然に受け入れるのだ。
嬉しそうに次の週末の予定を話すイギリスに向って日本は微笑んで返した。
身体を重ねなければイギリスの内部を知ることはなかったのだろうが、それはどうだろう、と考え直した。
たぶんイギリスに少しでも気を許した時点で、自分は彼に首を差し出したことと同意義だったのだ。
困ったな、絞め殺されそうだ。日本は胸の内で溜め息を吐いた。
*************
やや殺伐??ですvvv
イギリスとの関係が肉体関係となってから2人を取り巻いていた空気が変化した。
身体を重ねる前からなんとなく判っていたが、イギリスは嫉妬深い。兄の中国と同じかそれ以上か日本には判断がつかないが、とにかくも嫉妬心を丸出しにした。
「これからは俺のものだ」
初めて身体を重ねた後、酷く安心した声でイギリスが言ったのを日本は眠気で意識が飛ぶ前に聞いた。
よかったですね、日本はそう返してやりたかったが言う前に睡魔に襲われしまった。
なにもイギリスは口に出して日本を縛り付けることもなければ、殴ることもしない。
世間で言われているような、一日に1回はメールして報告しろ、なんて言われたことは1度もないし、メールや電話も誰だろうと好きなときに好きなだけできる。
出かけるときに付き合ってくれる相手も誰だろうと何も言わない。
もちろん、9対1の割合でイギリスと会うことのほうが多いのだが、イギリスは日本の好きなようにさせている。
が、しかしイギリスは無言の重圧で日本を縛り続けた。
一緒にいるときは必ず自分の目の届く場所に居ないと気がすまないらしく、少しでも側を離れるのを嫌った。
あまりにもぴったりとくっついてくるので、きっと周りは変な目で見ていることを日本は理解していた。だがイギリスは周囲の目を構うことは全くなかった。
夜のほうも激しかった。日本がぼろぼろと生理的な涙をこぼして何度もやめてほしい、と乞うのにイギリスはやめることはしない。
むしろその逆で、卑猥な言葉を日本に浴びせながら手荒く扱った。幾度も絶頂を迎えるのだがやめる気配は一向になく、結局は日本が気絶して終わる。
日本が気絶してもイギリスがやめているのかどうかは判らない。しかし次の日の身体の調子からいって、それ以降もしているのならば納得できた。
極めつけは2人きりになるとイギリスはすぐに日本に手錠をかけた。イギリスの家では手錠をされない日はないといって過言ではなかった。
手錠をして束縛された日本の両手首を見たイギリスは小さく、ほっと溜め息を吐く。
安心しているんだな、と日本は一瞬だけ張りつめた糸が緩んだのを感じて思った。それから手首を持ち上げて手錠を日本は少し、複雑そうに眺めた。
これがないと自分はイギリスを安心させてあげれないのだろうか。側にいるだけでは安心できないんじゃないのか。
じゃあ、自分はイギリスを苦しめているだけなんじゃないか。
さっさと家の中を進んでいくイギリスの背中を見て、日本は溜め息をついた。
両手首についている錘が心持ち、重さを増したような気がした。
「せめて首輪にしてもらえませんか?」
優雅に紅茶を飲んでいたことろで日本がなんの前触れもなく切り出した。
さきほどされた手錠は今はしていない。イギリスは日本が紅茶を飲むときとトイレ、風呂に行くときは必ず外した。
そういったときは手錠を外してくれるのだから、日本は強く言えることは何もなかった。
それに外すときのイギリスのがっかりした表情は見ていて辛いものがある。ゆえに日本はいつも負けた気分を味わった。
イギリスは一瞬なにか考えたあと、紅茶を一口飲んでから答えた。
「うん。そのほうが良いのかもな。なんだ、手錠は嫌いか?」
また哀しそうな表情を浮かべる。
日本は瞬時に動く自分の口に感謝した。僅かでも考えたならばきっとイギリスは自分に幻滅しただろう。
「いいえ。…ちょっとだけ、動きにくいものですから」
イギリスは満足そうに頷いた。
「日本が言うのなら仕方ないな。今度からは首輪にしよう。どんなやつがいいかな」
日本の首元を見てイギリスは目を細める。
手錠よりも見やすくていいのかもしれない、とイギリスは思った。けっして白いわけではない日本の首が美味しそうだった。
首に僅かに食い込んだ首輪、苦しくはないが自由がきかない首をしきりに気にする日本。節だった指が首に触れる様を想像して、イギリスは悪くはないなと思った。
「ありがとうございます。あまり苦しくないのがいいですね」
うっとりとしているイギリスにむかって日本は答えた。
庭に咲いている大量の薔薇がやけに目に付く。あれも日本を縛っている1つだ。
いつもイギリスが持ってくる薔薇。薔薇でなくても花の類やもの、これらは日本を縛り付ける要因となっている。
恐らくイギリス本人は意図してないのだろうが、日本からみればあれらは全て日本を身動きできなくさせていた。
愛情を込めて育てあげたイギリスの薔薇は彼に応えるべく立派に育ったのだろう。そこまでは日本は微笑ましい思いで見ていた。
花たちは育てる側の感情にも左右される。だからこれほどまでに見事に育てたイギリスに尊敬したのだが、イギリスが愛情を込めたのが自分の手元にくるようになってからは日本はすこし困った。
薔薇が重いのだ。質量もそうだがそれに込められた想いがどうしようもなく重く感じたのだ。
綺麗にラッピングされた薔薇を見て、日本はそこに含まれているものが自分の手に負えるものだといいな、と考えた。
幸か不幸かイギリスの想いはいまだもって日本の許容範囲内におさまっている。
どちらかというとイギリスがわざと日本が許容範囲におさめれるようにしていた。
「そうだ、次の週末は空いてたよな。今度どこかに行こう」
夢から覚めたような感覚でイギリスが言った。
首輪のことはもうどこかに消えていってしまったようだった。
「そうですね。どこに行きましょう」
「日本が行きたいとこはないのか?」
日本は首を傾げてから誤魔化すように紅茶を飲んだ。
イギリスが淹れてくれた紅茶は冷めていても美味しかった。飲み干した日本に向ってお代わりいるか、と聞かれ、はいと返す。
紅茶を淹れなおしている間にどこに行きたいのか日本は考えた。
今日本がいちばん行きたいのは東南アジアの後進国だ。行ってなにをするわけでもないが、あそこの料理が食べてみたかった。
しかしそこに行ったあとのイギリスの変わりようが大変だと思いなおした日本は無難な場所をあげることにした。
目の前には熱をもった紅茶が差し出された。ありがとうございます、礼を言ったあとに日本は続けた。
「遊園地とかどうでしょう?ちょうど時期なのでお化け屋敷にはいってみたいですね」
「お化け屋敷か。なるほど、面白そうだ!そこに行くか」
はい、日本は笑って答えた。その半面で不思議な感覚に浸かっていた。
イギリスが優しくしてくれるので頭の思考が鈍る。飴と鞭の絶妙な使い方に日本はイギリスには逆らえないのだと理解していた。
こうやってゆっくりと締め上げられる。日本の許容範囲内におさまるように、確実に束縛されていくのが判るのだ。
いまはまだ身動きはとれるが、しだいに雁字搦めにされて動けなくなり、時間をかけてイギリスに捕食されるのだろう。あまりにも自然で誰にも気づかれることはないから、自分は息をするのと同じくらい自然に受け入れるのだ。
嬉しそうに次の週末の予定を話すイギリスに向って日本は微笑んで返した。
身体を重ねなければイギリスの内部を知ることはなかったのだろうが、それはどうだろう、と考え直した。
たぶんイギリスに少しでも気を許した時点で、自分は彼に首を差し出したことと同意義だったのだ。
困ったな、絞め殺されそうだ。日本は胸の内で溜め息を吐いた。
*************
やや殺伐??ですvvv