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犯罪者に「王子」はないだろう

英雄視してしまうことにならないか

河村 崇(2007-10-19 18:50)
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 10月19日、東京地方裁判所で女性を連続して監禁・暴行した小林(現姓:石川)泰剛被告に対する判決公判が行われました。被告の自己正当化などを厳しく批判した裁判長の出した判決は、懲役14年でした。

 被害者に対して自分を「ご主人さま」と呼ばせるなど、その被告の加害についてご存じの方は少なからずいらっしゃると思いますが、私は、一部のメディアが「監禁王子」と表現していることについて、異議を唱えます。

 最近では「ハンカチ王子(斎藤佑樹さん〈野球〉)」「ハニカミ王子(石川遼さん〈ゴルフ〉)」「流し目王子(早乙女太一さん〈俳優〉)」と、さまざまな王子がメディアを席巻しています。それはそれで社会的に容認されるとは考えていますし、社会現象になるのも無理はないでしょう。

 ただ、実際に被害者となった4人の女性やその関係者からすれば、加害者が「王子」と形容されていることが理解に苦しむのでないか、と推察できなくもないでしょう。実際に裁判所が、被害者の精神的な後遺症について指摘しているからです。

 ちなみにテレビ局やラジオ局の場合、こうした犯罪者を英雄視する可能性のある報道手法は、放送基準などによって認められていないはずです(「犯罪を肯定したり犯罪者を英雄扱いしたりしてはならない」日本民間放送連盟 放送基準 第10章より引用)。つまり、被告を王子と形容することには、報道倫理や放送基準の上での問題があるということになります。

 さまざまな王子がいて構わないと思いますが、加害と被害が交錯する事件報道では、関係する人についての表現は特に慎重を期していただきたいものです。
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