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掘り出しニュース:中学生の2割「死んでも生き返る」

 【兵庫】「死んでも生き返る」と考えている中学生が2割もいる--。兵庫県内の幼児から中学生まで約4200人を対象に死生観を聞いたアンケートでこんな結果が明らかになった。背景には、身近な人の死に触れる機会が減り、一方でゲームなどに仮想の死の情報があふれる現状があるとも考えられる、という。死が絶対的なものとの認識は小学生でいったん確立するが、中学時代にはそれがぶれる現象が起きているようだ。【井上大作】

 死別体験者の集いなどを続けてきた「兵庫・生と死を考える会」が、97年に神戸市須磨区であった小学生連続殺傷事件を受けて発足させた「生と死の教育研究会」が03年と04年の2回、調査を実施。4~9歳の504人への聞き取り調査(03年)と、6~14歳の3719人にアンケート(04年)した結果をもとに「子どもたちに伝える命の学び」(「考える会」編、東京書籍)にまとめ、9月に出版した。

 最初の聞き取り調査で「あなたは自分がいつか死ぬと思いますか」と質問したところ、4歳で半数以上が「死なない」と回答するが、7歳になると9割が「死ぬ」と答えるようになった。「命の有限性の認識は7歳で深まり、9歳で確立する」というのが調査の結論だ。

 一方で「死んでも生き返ると思うか」と質問した04年のアンケートでは、小学5、6年生から「死んでも生き返る」という答えが目立ち始め、中学生では「生き返る」「たぶん生き返る」と答えた子どもが計2割に及んだ。現代の子どもにとって死の現実感が薄れるなか、「生まれ変わり」などの宗教的イメージも重なり、生と死の境界をあいまいに考える傾向があるようだ。

 同様に、▽ゲームを毎日3時間以上する小学校低学年児童は「死んでも生き返る」と答える割合が多い▽学年が上がるにつれ、死にたいと思ったことのある比率が増加する--ことなども判明した。これらの結果から、葬儀などへの参列や死について家族で話し合うことの大切さを指摘している。

 教師や教育関係者らでつくる同研究会の代表で、小学生連続殺傷事件当時に県教育次長だった近藤靖宏さん(70)=芦屋市=は調査の意義について「死についてストレートに聞く設問を見て、協力してもらえない学校もたくさんあった。しかし生きるとは限りある時間のなかでどう輝くかであり、これまで避けられてきた死の問題を正面から考えることが大切」と話す。

 同書は、学力やしつけをテーマにしたシリーズ本の1冊として出版された。東京大名誉教授で解剖学者の養老孟司さんが「命の大切さを実感させるには、死んだ人を見せればよい。『理解』するのではなく『実感』させることに意味がある」などと説いた提言も盛り込まれている。

 2007年10月18日

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