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「遺体を陵辱」 光市検察側弁論要旨(4) (1/2ページ)
■3 強姦の犯意の存在
▽(1)強姦の犯意が認められること
被告人が被害者を姦淫した事実は争う余地がない。そこで、被告人が被害者を殺害した行為が強姦の手段として行われたものか否かが問題となるが、被告人は被害者の遺体を陵辱しており、この行為自体から強い性的欲望を有していたこと、その欲望に基づき被害者を姦淫したことが認められる。
その際、被害者が抵抗し被告人がその抵抗を排除したことも容易に推認されるのであり、殺害がその抵抗を排除するために行われたものであることが明らかである。加えて被告人には、被害者および被害児を殺害する動機となるような怨恨はないのであり、このことも被告人の被害者殺害が強姦の目的によるものであることが認められる。
被告人は捜査段階では逮捕の翌日以降一貫して強姦の目的を認めていたものであるが、それだけではなく被告人が自由に述べることができたことが明らかな1審公判の被告人質問および最終陳述並びに友人に対する手紙の中でも、強姦の目的を認めていたものである。
すなわち、1審における被告人質問では「自分の考えがスムーズに事が運ぶので、襲っても、あんまり抵抗しないんじゃないかなというふうな考えが出てきて、それで襲ってしまいました」「全くは抵抗を受けないとは思わなくて、だからスプレーを用心して持っていったわけで、でも、実際あれほど抵抗を受けるものとは思いませんでした」として、強姦の犯意を前提とし、被害者の抵抗を排除しようとする意思を有していたことを認めた供述を積極的に行っている。
さらに被告人は、被害者の遺体を陵辱したことについて、「怖いというより、そのときには欲望の方が上だったと思います」と述べ、性欲を満たしたいという思いであったことを認めている。また、上記友人に対する手紙には「犬がある日かわいい犬と出会った…そのままやっちゃった これは罪でしょうか」と記述し、さらに「同種を犯し、殺しても」という記述が続けられている。
この記載は法廷と切り離された環境の下で、自らの意思で自らの言葉で犯行時の気持ちをそのまま自由意思で書いたものであることが明らかであり、この点からも強姦の犯意を有していたことが明らかである。