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「単なる言い逃れ」 光市検察側弁論要旨(2) (1/2ページ)
【第2 犯罪事実】
弁護人は、1、2審判決は事実の認定を誤っており、被告人には殺意はもとより強姦の故意も窃盗の故意もなく、傷害致死罪が成立するにとどまるとし、1、2審判決が認定する事実を積極的に裏付けるものは、被告人の捜査段階の供述のみであると主張する。
しかしながら、本件においては、以下詳述する通り、客観的事実だけからでも被告人の各犯罪事実は認定できるのであり、被告人の自白はこれを合理的に裏付け、具体化しているものであって、本件各犯罪事実は揺るぎなく認定できる。
これに反して、被告人の当公判廷における弁解は通常人の合理的理解を超えるばかりか、その内容には明らかな虚構があり、1、2審判決の認定事実に合理的疑いを入れるものではない。
■1 被害者(=弥生さん)に対する殺意の存在
▽(1)被害者に対する殺意が認められること
被害者が扼殺されたことは遺体の所見から明らかであり、その行為態様自体から被告人の殺意が認められる。
人の頸部を素手で絞めて窒息死させる行為は定型的な殺人行為であって、それ自体からして殺意が認定されるべきものである。ましてや本件においては、成人女性である被害者の必死の抵抗を受けながら、5分間あるいはそれ以上の時間継続して頸部を素手で圧迫し続けて窒息死させているのであり、これが被告人の強い殺意に基づく行為であることは明白である。
被告人は捜査段階では殺意を明確に供述しているほか、少年鑑別所における鑑別の際には、犯行時に被害者と目が合った際、「死んじゃえ」と思ったと述べ、1審の最終陳述で「ぼくは4月14日に被害者宅へ作業員になりすまして侵入し、被害者を殺してしまい、強姦してしまった」「申し訳ないと思います」と供述している。この言葉は、まさに殺意をあるがままに述べたものであることが明らかである。
さらに、被告人は1審判決後に、友人に出した手紙の中では「オレは最低な人間さ! 平気で人を殺した」と書いている。このような被告人の従前の供述には、これがすべてうそであったとして否定し去るにはあまりにも重いものがあるといわなければならない。