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PCI関係先を捜索 国事業で流用容疑 東京地検

2007年10月17日16時59分

 海外での建設コンサルタント業務の大手「パシフィックコンサルタンツインターナショナル(PCI)」(東京都多摩市)の元社長(71)らが、国から受注した中国の遺棄化学兵器の処理事業で約9000万円を流用していた疑いが強まり、東京地検特捜部は17日、特別背任容疑でPCIのグループ会社などの捜索に乗り出した。特捜部は、巨額の国費が投じられる事業を舞台に行われた不正経理の実態解明を目指す。

 特捜部の捜索を受けているのは、事業を受注したグループ会社「遺棄化学兵器処理機構」(港区)や、グループの土木建築会社「パシフィックプログラムマネージメント(PPM)」(千代田区)、都内のPCI元社長の自宅など。

 PCIは、旧日本軍が中国に遺棄した化学兵器の処理事業について、他社と共同で00年度から総合コンサルタント業務を内閣府から受注。同年度〜03年度の契約金額は総額60億円以上となった。その後、04年度からは、遺棄化学兵器処理機構が随意契約で処理事業の総合管理業務を受注した。契約金額は04年度が約79億円、05年度は約87億円。

 同機構から04年度に業務の一部を約2億円で委託されたPCIは、PPMに再委託。さらに、PPMも他の下請け会社に発注していたという。

 これらの取引で事業費のうち約9000万円が使途不明になっており、PCIの元社長らが不正に流用し、同社に損害を与えた疑いが持たれている。

 この処理事業は、97年に発効した化学兵器禁止条約にもとづくもの。日本政府が費用を全額負担することで中国政府と合意している。遺棄された毒ガスなどの兵器の大部分は、中国・吉林省ハルバ嶺(れい)に埋まっているとみられ、ここに約940億円を投じて大規模処理施設が建設されることが決まっている。事業の完了期限は12年度が予定され、06年度末までに事業費約471億円が支出されている。

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