2007年10月17日15:09そのまま放ってはおけない(英日小説)
日本は普段はきっちりしているくせに、人が見ていないときはとことんだらしのない格好をしている。
ベッドの上に寝そべり、片足の膝を折ってぼんやりと空を眺めている姿は憎らしいほど艶やかだ。
目はぼんやり、というよりはとろんと眠たそうに見えた。
着物の間から見える肢がどうにも目に毒で、その様を見たイギリスは頭を抱えた。
あの肌がどれほど触り心地が良いのか知っているだけに、余計に理性と格闘していた。
イギリスがなぜこの場にいるのかと問えば答えは簡単。
昨晩、日本が彼の家に泊まったからに他ならない。もちろん、あんなことやこんなことをしたのだから、泊まるのは自然な流れだ。
だらしのない格好は目に毒だが逆もまた然り。
イギリスは先ほどからまどろんでいる日本とどういちゃつこうか真剣に悩んでいた。
だが爽やかな朝に紳士なイギリスは不埒な行動にはなかなか移せないのも事実だった。
なんとも添え膳な状況のなかでイギリスが悶々としていると、ふいに日本が口を開いた。
「常々思っていましたが、なんで欧州や欧米の方々はベッドで寝るのでしょうね」
「…は?」
イギリスは日本の言葉に非常に困った。
困って口をまごつかせているイギリスをちらりと見、日本はまた窓の外に目を向けた。
その際に何を考えているのか掴み難い日本の黒い瞳が揺れたのをイギリスは見てしまい、腰に熱が集まるのを認識した。
さすが年上。上手いな!
なにが上手いのかはイギリスと読んでくださっている皆さんのご想像にお任せしますが、とにかくイギリスは眉を顰めて目を逸らした。
イギリスが顔を真っ赤にさせていることなど知らない日本は突然すぎましたね、と一言謝ってから続けた。
「ええと、つまりはあまりにも上質でよく沈むベッドは身体中が痛くなってしまう、っていうことを言いたかったのですよ」
歳のせいですかね、日本は言葉どおり身体が凝るのか先ほどから寝返りをうっている。
対してイギリスの返答はない。
いや、彼にしてみれば言葉など一言もでてこない状況だった。
寝返りをうつたびに着物が肌蹴、日本の肌がちらちらと覗き、着物という構造のせいかはたまた彼だけがなせる業なのか決して全てが見えることはない。
銜えて先ほどからベッドのスプリングが忙しなく鳴っている。決して古くないはずだが、やけに大きく聞こえて非常にやらしい。
更に追い討ちをかけるならば、日本が滅多に見せることのない気だるげな姿である。イギリスに対して安心しているという証拠だ。
このような状態の日本を見て、まともな頭を保てるというならばその人物を教えて欲しい。
間違えた。特に知りたくもない。知っている奴がいたら今すぐにでも抹殺しに行こう。イギリスは密かにうんうんと頷いた。
「慣れるしかないな。なんならマットの上で寝るか?」
ソファの下に敷かれているマットを指して、イギリスは半ば八つ当たりと皮肉を込めた言葉で言った。
「うーん。そうさせて貰いましょうか。ああ、でも行儀が悪いですよね…」
逆に驚いたのはイギリスだった。
皮肉だと理解しているのかしていないのか、日本の顔をみても判らない。しかし、素直に聞いているところからみるに、理解していないと捉えていいのかもしれない。
行儀が悪いとか言いながらも、日本は鈍い動きで移動し、木製の机と簡素なソファの間に寝そべった。
やっぱり地面が近いほうが性にあっているのでしょうか。日本は先ほどよりも幾分か安心させた声色で呟いた。
呟いてから後悔した。これではイギリスのベッドを否定しているようなものだ。
日本はまだ傷む身体を無理矢理起こし、ソファに座った。
「このソファ固かったんですね」
ぽんぽんと軽く叩く。マイペースすぎる日本があまりにも珍しくて眺めていたのだが、声をかけられたイギリスは、はっと我に返った。
「あ、ああ。たまには柔らかすぎないのもいいかと思ってな」
気持ち良い、とうっとりした声で言いながら、今度はソファに身を沈めた。
「やっぱり固いのが好きなみたいです」
「…そうか」
その科白、なんかエロくないか。イギリスは思った。
ベッドに座っているイギリスには日本の表情は見えなかったが、きっと声と同じくうっとりさせていることは想像に難しくない。
昨夜、ベッドの上で気持ち良さそうに笑んでいた日本を思い出したイギリスは、腰に集まる熱とともにどこかのタカが外れたことを自覚した。
もう勘弁してください。襲わせていただきます。
覚悟を決めたイギリスは十字を素早くきって日本に近づいた。
*************
日本にあのセリフを言わせたかっただけですvvv
ベッドの上に寝そべり、片足の膝を折ってぼんやりと空を眺めている姿は憎らしいほど艶やかだ。
目はぼんやり、というよりはとろんと眠たそうに見えた。
着物の間から見える肢がどうにも目に毒で、その様を見たイギリスは頭を抱えた。
あの肌がどれほど触り心地が良いのか知っているだけに、余計に理性と格闘していた。
イギリスがなぜこの場にいるのかと問えば答えは簡単。
昨晩、日本が彼の家に泊まったからに他ならない。もちろん、あんなことやこんなことをしたのだから、泊まるのは自然な流れだ。
だらしのない格好は目に毒だが逆もまた然り。
イギリスは先ほどからまどろんでいる日本とどういちゃつこうか真剣に悩んでいた。
だが爽やかな朝に紳士なイギリスは不埒な行動にはなかなか移せないのも事実だった。
なんとも添え膳な状況のなかでイギリスが悶々としていると、ふいに日本が口を開いた。
「常々思っていましたが、なんで欧州や欧米の方々はベッドで寝るのでしょうね」
「…は?」
イギリスは日本の言葉に非常に困った。
困って口をまごつかせているイギリスをちらりと見、日本はまた窓の外に目を向けた。
その際に何を考えているのか掴み難い日本の黒い瞳が揺れたのをイギリスは見てしまい、腰に熱が集まるのを認識した。
さすが年上。上手いな!
なにが上手いのかはイギリスと読んでくださっている皆さんのご想像にお任せしますが、とにかくイギリスは眉を顰めて目を逸らした。
イギリスが顔を真っ赤にさせていることなど知らない日本は突然すぎましたね、と一言謝ってから続けた。
「ええと、つまりはあまりにも上質でよく沈むベッドは身体中が痛くなってしまう、っていうことを言いたかったのですよ」
歳のせいですかね、日本は言葉どおり身体が凝るのか先ほどから寝返りをうっている。
対してイギリスの返答はない。
いや、彼にしてみれば言葉など一言もでてこない状況だった。
寝返りをうつたびに着物が肌蹴、日本の肌がちらちらと覗き、着物という構造のせいかはたまた彼だけがなせる業なのか決して全てが見えることはない。
銜えて先ほどからベッドのスプリングが忙しなく鳴っている。決して古くないはずだが、やけに大きく聞こえて非常にやらしい。
更に追い討ちをかけるならば、日本が滅多に見せることのない気だるげな姿である。イギリスに対して安心しているという証拠だ。
このような状態の日本を見て、まともな頭を保てるというならばその人物を教えて欲しい。
間違えた。特に知りたくもない。知っている奴がいたら今すぐにでも抹殺しに行こう。イギリスは密かにうんうんと頷いた。
「慣れるしかないな。なんならマットの上で寝るか?」
ソファの下に敷かれているマットを指して、イギリスは半ば八つ当たりと皮肉を込めた言葉で言った。
「うーん。そうさせて貰いましょうか。ああ、でも行儀が悪いですよね…」
逆に驚いたのはイギリスだった。
皮肉だと理解しているのかしていないのか、日本の顔をみても判らない。しかし、素直に聞いているところからみるに、理解していないと捉えていいのかもしれない。
行儀が悪いとか言いながらも、日本は鈍い動きで移動し、木製の机と簡素なソファの間に寝そべった。
やっぱり地面が近いほうが性にあっているのでしょうか。日本は先ほどよりも幾分か安心させた声色で呟いた。
呟いてから後悔した。これではイギリスのベッドを否定しているようなものだ。
日本はまだ傷む身体を無理矢理起こし、ソファに座った。
「このソファ固かったんですね」
ぽんぽんと軽く叩く。マイペースすぎる日本があまりにも珍しくて眺めていたのだが、声をかけられたイギリスは、はっと我に返った。
「あ、ああ。たまには柔らかすぎないのもいいかと思ってな」
気持ち良い、とうっとりした声で言いながら、今度はソファに身を沈めた。
「やっぱり固いのが好きなみたいです」
「…そうか」
その科白、なんかエロくないか。イギリスは思った。
ベッドに座っているイギリスには日本の表情は見えなかったが、きっと声と同じくうっとりさせていることは想像に難しくない。
昨夜、ベッドの上で気持ち良さそうに笑んでいた日本を思い出したイギリスは、腰に集まる熱とともにどこかのタカが外れたことを自覚した。
もう勘弁してください。襲わせていただきます。
覚悟を決めたイギリスは十字を素早くきって日本に近づいた。
*************
日本にあのセリフを言わせたかっただけですvvv