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景況感、地域差くっきり 日銀経済報告

2007年10月16日04時07分

 日本銀行は15日に発表した10月の地域経済報告で、全国9地域のうち「北海道」「近畿」「九州・沖縄」の3地域の景気判断を前回7月報告から下方修正した。三つの地域を同時に下方修正するのは、05年4月に現在の調査方法になって以来初めて。全体の景況感は「緩やかに拡大」との判断を5四半期連続で据え置いたが、地域ごとの景況感の格差が鮮明になった。

 報告は、同日の日銀支店長会議を受けてまとめられた。それによると、北海道地域は、国内の乗用車販売の不振を背景に自動車部品の生産が鈍化し、前回7月の「緩やかに持ち直し」から「横ばい圏内」に下方修正された。これにより、昨年10月報告から続いていた全9地域での「拡大または回復方向」との判断が、5四半期ぶりに途切れた。

 上野正彦・札幌支店長は記者会見で「中堅・中小企業や建設業種などが減退感を強めている」と述べた。公共投資の減少のほか、寒冷地のため冬場の灯油の使用量が多く、原油価格の高騰が景況感の悪化に影響しているという。

 個人消費の伸びが鈍化した近畿は「拡大」から「緩やかに拡大」へ、製造業の景況感がやや陰った九州・沖縄は「回復」から「緩やかな回復」に下方修正された。

 他の6地域は判断を据え置いたが、関東甲信越、東海、近畿の各地域の判断が「拡大」なのに対し、公共投資の減少が続く四国地域は「持ち直し」のままで、地域間のばらつきは依然大きい。

 項目別でみると、各地の企業部門は、一部地域で中小企業の景況感に慎重さがみられるが、全体としては引き続き好調。設備投資は全地域で増加傾向だった。

 一方、家計部門は、6月の改正建築基準法施行に伴う着工の遅れで住宅投資が全地域で減少。早川英男・名古屋支店長は「行政手続きの変化が原因で、いずれ正常化する」との見通しを示した。雇用・所得環境はほとんどの地域で改善傾向にあるが、北海道だけは雇用者所得が「いくぶん弱め」となった。

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