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医師の派遣緩和へ 都道府県の承認条件に

2007年10月16日04時06分

 厚生労働省は15日、医師の派遣規制を大幅に緩和し、都道府県が医師不足対策に必要と認めた病院への派遣を解禁する方針を決めた。医療関連の労働者派遣は原則禁止で、現在は他の病院に一時的に赴任する場合でも一度退職してから再就職する必要がある。規制緩和後は、公的な仲介があれば派遣を認め、医師不足の病院に赴任しやすい環境をつくる。同日の労働政策審議会の部会で了承された。年内にも実施する。

 労働者派遣制度は、建設、警備、港湾運送、医療関連の4業務で派遣を禁じている。医療関連は「派遣労働者を受けるとチーム医療に支障をきたす」との理由だ。

 しかし、医師不足が深刻なため、昨年4月、へき地の医療機関への派遣や、医師の産休や育休を埋める派遣を解禁した。だが、地方都市の拠点病院などでも医師不足に悩んでおり、さらに規制を緩和することにした。

 規制緩和後は、医師派遣の可否は、医療関係者や自治体首長らでつくる各都道府県の医療対策協議会が判断する。厚労省が6月に始めた緊急医師派遣システムにより、国の仲介で医師が赴任する場合も、都道府県の承認を得て派遣の形で赴任することが可能になる。ただし派遣元は医療機関に限定し、人材派遣会社の参入は認めない方針だ。

 医師は、派遣元の病院職員の身分のまま別の病院に赴任できるようになる。大病院の複数の医師が輪番を組み、中小病院で短期間ずつ診療にあたるといった柔軟な派遣方法が容易になる。

 これまでは大学医学部が医師派遣機能を担ってきたが、大学病院が医師不足になり、地域の病院から医師を引き揚げる動きが相次いでいる。厚労省は来年度から、国や都道府県の仲介で派遣に応じた病院に補助金も出す方針で、医師派遣の仲介機能を都道府県が担えるよう、制度と補助金の両面で誘導していく。

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