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将来的な収益部門として育成
他の付属病院での開設も視野
東海大医学部 抗加齢ドックを拡充へ
2007.10.12

 東海大医学部は、付属の東京病院で運営する「抗加齢ドッグ事業」を拡充する。ドック事業を大学病院の収益部門として育成していく方針で、他の付属病院でも抗加齢ドックの開設を検討する。将来的には遺伝子検査の導入も視野に入れ、受診者の幅広いデータ収集・解析といった臨床研究活動にも力を入れていく方針。通常の人間ドックを含めたドック事業全体の稼働額は約1億3000万円だが、3年後には倍増を見込む。

● 抗加齢ドックのコース増設 最新医療機器も導入

 昨年6月開設の抗加齢ドックは、現在の老化度や健康を損なう可能性のある兆候をさまざまな角度から検査し、その結果を受けて医師らが生活習慣・運動療法などのアドバイスを提供するサービス。検査項目には、「血管老化度」「血液老化度」「活性酸素・抗酸化力」「免疫バランス」−など7項目を中心に据え、細かい検査項目数に応じて、アドバンスコース(抗加齢ドック単体価格12万1800円、通常ドック併用価格16万1700円)、ベーシックコース(同8万8200円、12万8100円)を設けている。

 ドック開設から1年間が過ぎた今年6月には、価格を抑えた「コンパクトコース」(通常ドック併用価格7万9800円)も新設。その後も、短時間で詳細なデータが収集できる最新のマルチスライスCT(MDCT)も導入するなど段階的な体制拡充を進めてきた。

 今後は、付属東京病院での抗加齢ドックのノウハウと実績などを生かしながら、伊勢原・大磯・八王子の付属病院での開設も検討する。

 抗加齢ドックで的確なアドバイスや面談ができる医師育成も大きな課題となっており、総合大学としての強みを生かして抗加齢医学に精通した医師・専門家の育成にも力を入れる方針だ。

● 遺伝子検査の導入も検討

 抗加齢ドックに遺伝子検査を導入することも検討する。ただ、遺伝子検査では将来の細かい疾病予測が可能になる一方、受診者にとってネガティブな情報がはっきりするケースも多くあるため、どういった遺伝子検査が抗加齢ドックになじむかを慎重に議論していく。

 また、抗加齢ドックの検査結果を反映させたオーダーメード的な運動指導の可能性も探る予定。体育学部などと連携して、ドック事業と連動した運動指導・療法の在り方を検討する。

 抗加齢ドック開設1年間の受診数は約300人程度。新たな受診者を確保するため、抗加齢ドックの広報活動にも重点を置く。地域医師会に出向いての講演や、健保組合といった保険者などに対しても積極的に働きかける。新規受診者だけでなく、定期的にドックを受診するリピーターも現在の1割から5割程度まで引き上げることを目指す。

 抗加齢ドックの受診者の幅広いデータの収集・分析作業も本格化させる。大学病院として、学問としてのアンチエイジングを確立するための臨床研究活動も並行して進める。

● 抗加齢ドックで人間ドック受診者も増加

 東海大医学部付属東京病院の桑平一郎病院長は、抗加齢ドックの開設で「病院経営がドラスチックに改善されるとは思っていないが、抗加齢ドックを始めたことで通常の人間ドックの受診者数も増えるという相乗効果が生まれた」と報告。今後も、ドック事業の体制整備を進め、病院経営を支える収益部門として育成していく考えを強調した。中期的な目標としては「現在の稼働額1億3000円程度を3年後には倍増させたい」と意欲を見せた。

(写真=東海大医学部付属東京病院)



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