2007年10月15日(月)
◎ 弁護人は辞任しません 早まった公表でご迷惑かけました
出張先の岡山から、モバイルで書いています。
本日朝、被告人と１時間ちょっと話し合い、結論として、弁護人を辞任しないことにしました。
被告人が、「絶対に辞めないでほしい。今枝先生に弁護してほしい。」と言う以上、他の弁護人が「辞めてもらわないといけない。」と言うからといって、辞めることはできません。
被告人の言葉を聞いて、嬉しく思う反面、被告人のいないところで「辞めてもらわないといけない。」「じゃあ辞めます。」と弁護人同で議論したこと、それを軽率にも公表してしまったことを、深く恥じました。
私が予想していたよりもはるかに多くの方が、ご心配や応援をしてくださり、勇気付けられることもありました。
軽率に「辞めます。」と意思表明しお騒がせさせたこと、深くお詫び申し上げます。
特にもし本村洋さんほかご遺族が困惑されたならば、配慮が欠けたこと、伏してお詫び申し上げます。
また弁護人間の軋轢を公表したことにつき、ご批判やご懸念等あろうかとは思います。
ただこれは、被告人のため、被告人のためによりよい弁論を準備していくために、一定の圧力は必要と判断しなしたことです。
私と弁護団との軋轢は、書いていないこと、書けないこともいろいろあります。
私は弁護人は辞任しないことにしたものの、主任弁護人と弁護団長から「辞めてもらいたい。」旨はっきり言われていることから、今後どのようなスタンスで刑事裁判に臨むべきかは、まだ定まっていません。
弁護団という法人格は無く、訴訟上も意味のあるものではありませんが、刑訴規則上は弁護人は主任弁護人の意向に反して訴訟活動できないでしょうから、弁護団を外れた「弁護団ひとり」として活動するとしても、主任弁護人の意向に制約を受けるでしょう。
ただ、被告人が「最終的に弁護団と別々としても、今枝先生にも僕のために弁論してほしい。」と希望していますので、被告人の意向が最優先ということになるでしょうか。
作成者
今枝仁
: 2007年10月15日(月) 12:32
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2007年10月14日(日)
◎ 最後に光市事件弁護団へエールを送り、退きます
「元弁護人」であるただの「身元引受人」になってしまい、意見の表明も制約されてしまうので、今のうちに、私の弁護団への要望を書いておきます。
方針が異なり辞任勧告されたわけですから、弁護団としては聞き入れたがたいものばかりかもしれません。
�〆嚢盧枴柤牲臉覆箸修慮紊寮睫世�、結果的に遺族を混乱させ社会感情を悪化する等の悪影響を及ぼしたことにつき、素直に反省（できれば謝罪が望ましいが、そこまでは求めすぎでしょうか）の態度を示してほしい。
そこからスタートしないと、マスコミや世論は弁護団の主張をなかなか受け入れないでしょう。
世論の悪化を解消しないと、裁判断に威圧となるおそれもあります。
被告人の生命への危険となるおそれすらあります。
�∨＾絣悗寮�果ばかりに目を奪われず（それも重要だが）、その他の論点、特に「戸別訪問は強姦の計画によるものでなかった」「一般情状」により力を注ぐことを再検討してほしい。
２１人も優秀な弁護士がいるのだから、分担すれば十分に精査できるはず。
��ホームページ開設にあたっては、臆病にならず、正当と考える弁護活動を堂々と公開してほしい。
「被告人の言い分ではなく、弁護団が言わせている」という疑いを、根拠を示して払拭することが重要。
供述の変遷については、その被告人質問を詳細に公開することも検討してほしい。
�い發辰畔杆鄰墜睇瑤念娶�を闘わせるべき。
内部批判や意見に、きちんと対応すべき。
内部批判や検証要望に寛容な体制を整え自己批判の目を肥やさなければ、独善的な弁護活動になるおそれがある。
遠慮や不要な儀礼、馴れ合いは完全に排除しなければならない。
�ァ屬覆瓩覆い任い燭世�たい。」等、被告人の不規則的な発言については、その真意、背景となった心情等、徹底的に分析してほしい。
�ε�番弁護、１・２審の弁護人の弁護活動の問題点については、徹底的に洗い出し、検討を加えてほしい。
��弁論にあたっては、更新意見書のときのような不要なインパクト（ママゴトや復活の儀式等）を表現に込めず、事実にふさわしい表現に徹してほしい。
弁護団会議やメールで散々言ってきたので、これくらいにします。
これほどレベルが高く、刑事弁護の基本に忠実な弁護団はないでしょう。
刑事弁護の基礎の重要性を、再認識させられました。
あとは、重点の置き所等を、よく考えてほしい。
事件の弁護以上に、被告人の弁護を考えてほしい。
ありがとうございました。
作成者
今枝仁
: 2007年10月15日(月) 08:55
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◎ 重大報告 弁護人を辞任することになりました。
被告人の不利益に配慮し、あまり具体的には書けませんが、本日の弁護団会議で、弁論に向けての方針等の意見が対立し、私が、「法医学の論点ばかり重視して、他の論点がおろそかである。今日の議題も法医学ばかりではないか。そういうことであれば私は今後弁護団会議には出席せず、自分で『戸別訪問は強姦の計画性でなかった』『現在の反省と将来の更生』等の検討を独自にする。」旨表明したところ、主任弁護人と弁護団長から、「そういうことであれば、弁護団から外れるのみならず、弁護人から降りてもらいたい。」旨の発言がありましたので、明日一応被告人に説明をし、弁護人を辞任します。
この問題は以前から発生しており、被告人自身は、「今枝先生に降りてほしくはないけど、最終的には今枝先生自身で決めていいよ。」と言われています。
ほかにも、私自身の健康状態の問題もあります。ほかの依頼者にこれ以上迷惑をかけられらないということもあります。
今後は、「元弁護人」として、秘密保持義務や被告人の不利益に配慮しつつ、限られた範囲で、表現することになります。
いいブレーキになってちょうどいいかもしれません。
よって、公判調書に従った被告人質問の再現等は、中途で残念ですが、弁護人を辞任することに鑑み、中止させていただきます。
なお、「パフォーマンスである」等の批判が予想されるため、今まで明らかにしておりませんでしたが、１０月３日、私は、被告人の身元引受人となる文書を広島拘置所に提出しました。
処遇上の問題解決への協力や、釈放後の住居確保や、死亡時の遺骨・遺品引き取り等の責任を負います。
麻原の娘の後見人になり苦い思いをされた江川紹子さんに相談するなどしながら、悩んでなした決断です。
今後は、裁判の弁護という枠を外れ、被告人の精神的安定や、今後の生活への指針づくりなど、身元引受人としてのサポートをなしていきたいと思います。
弁護団について、外から批判することはしないつもりです。
しかし弁護団から私を非難されるようなことがあれば、別です。
作成者
今枝仁
: 2007年10月14日(日) 16:12
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◎ 山口県弁護士会の怠慢
私は、以前から、「山口県弁護士会は、光市事件の被告人について、被疑者段階に出動した当番弁護士と、１審弁護人の、弁護活動等に問題がなかったかどうか、調査するべきである。」と提唱しています。
先日の、中弁連（中国地方弁護士連合会）の刑事弁護センター委員会テレビ会議でも、その旨意見を述べました。
しかし、山口県弁護士会刑弁委員の回答は、「１審の弁護人にも、間違って懲戒請求が来ていますが、事情を説明したら、むしろ１審の弁護人の弁護活動は正当だったということを理解され、取り下げる方が多いと聞いています。」とのこと。
１審弁護人の弁護活動が正当だった、と説明しているようです。
その前提として、どのような問題意識を持ち、調査したのか、まったく不明です。
もちろん、進行中の裁判への影響を考え、慎重になるべき部分もあるでしょう。発表には。
しかし、少なくとも、調査と問題点の検証は必要です。
�‥�番弁護士は、誰から出動要請を受けたのか。
�△匹里茲Δ淵▲疋丱ぅ垢鬚靴燭里�。
��なぜ２回出動し、２回目がそんなに遅い時期だったのか。
�づ�番弁護士は、なぜ被疑者弁護人を選任させなかったのか。
�セ篩�弁護人は、鑑別時期になにをしていたのか。
�δ敢叉�録・社会記録を見たのか。謄写入手したか。
��父親から「遺族の損害賠償請求を防ぐ」方針を依頼されていたのか。
�┥攀鯲爐鮑垢憩�れなかったのであればなぜか。
��調書の信用性を一部争いながら任意性を争わなかったのはなぜか。強姦の計画性を争っているのになぜ調書に全部同意をしたのか。
��殺人と傷害致死の違いを説明したか。
��少年だと無期だから情状に集中という示唆をなしたか。
��被告人質問の準備はなにをしたか。
��なぜいきなり殺意があることを前提に質問したか。
��被告人側の控訴につき相談したか。
��検事控訴に対応した控訴の相談をしたか。
について、この場で公開で、調査と問題検証の措置を求めます。
結果報告・発表の方法については、光市事件弁護団の本田団長と相談してください。
これらの措置がなされない限り、私的に貴会を批判し続けます。
作成者
今枝仁
: 2007年10月14日(日) 21:51
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2007年10月13日(土)
○◆ 万国共通の侮辱言葉
相手を侮辱する言葉で、最上級のものは、どこの国の言葉でも、相手の母親を侮辱する言葉のようです。
「お前の母親は売春婦だ。」「マザー・ファッカー」等。
サッカーのワールドカップ決勝戦であのフランス代表ジダン選手がイタリアのマセロッティ選手に頭突きした騒ぎも、そういう趣旨の侮辱言葉が引き金になったようです。
これは私が東京地裁の事務官だったころの、ある殺人事件、フィリピン人同士の殺人事件の被告人質問の出来事。
当然、タガロク語の通訳人が入っています。
弁護人「そのとき、被害者は、あなたになんと言ったんですか。」
通訳人「××××、×××、××××××？」
被告人「×××××、『×××、×××』××××！！（目を三角にして怒）」
通訳人「・・・そのときあいつは、・・・（言いにくそう）『オマエノカーチャン、デーベーソ』と言いやがったのです！」
裁判官、検察官、弁護人「・・・・・・？」
ハア？ オマエノカーチャン、デーベーソ？？？
お前の母ちゃん、でべそ！？
そんなタガロク語あるのか？？？
裁判長「・・通訳人、そういうタガロク語が実際にあるんですか。」
通訳人「あっ、いいえ、直訳したら『お前の母親は売春婦だ、ふしだらだ。』みたいな意味だと思うんですが、私が日本語を習うときに、この言葉に対応する日本語が、『お前の母ちゃん、でーべーそ』と習ったもんで・・・」
裁判長「じゃあ、かなりの意訳ですね。」
細かい部分は違えど、やはり、母親をけなし侮辱する言葉が一番こたえるようです。
その直後、言われた方が言った方を殺害してしまったのですから。
もちろん、そうされても仕方ないということではありませんが。
人を凶暴にするニュアンスが、母親の侮辱にはあるようです。
それだけ、母親というものはその人自身の尊厳に結びついているのでしょう。
※この記事は、実際の事案をもとにかなりディフォルメして描写していますので、実態と異なる部分が多々あります。
作成者
今枝仁
: 2007年10月13日(土) 18:11
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◎ ９月１８日 供述の変遷について被告人質問 ５
（続き）
弁護人（足立）
ところどころと言ったけれど、あなたの調書を見ると、調書の中で、いったん書いたものを訂正を求めたという箇所はないですよね。
「はい、ありません。」
今言ったのは、やり取りの中で、意味とか、そういうことでのやり取りは多少はあったということですか。
「意味のやり取りとしましては、供述調書というものが大体どういうものかという説明が検事さんのほうからありました。その中の説明としては、その供述調書と呼ばれるものは、僕自身がしゃべったものがそのまま載るものではないというふうに教えられまして、これは、取調べに当たった人の印象だったり感想だったりが載るものだからというふうに教えていただいておりましたので、あと、不服というか、自分自身が言い足りないところがあったら、後になって調書をまた作成してもらえるということを言ってもらえました。」
今の話は、調書について、取調べをしている人の印象や感想が盛り込まれるんだということは、誰から聞きましたか。
「尾関検事さんから聞きました。」
取調べされるときに、容疑者として調べる場合、取調べする人が言いたくないことは言わなくてもいいですよ、そういうことを言うことになっているんですが、あなたはそのことの意味が分かっていましたか。
「その確認が行われておりません。」
言われてたかもしれないけど、あなたとしたら、明確にどういうことなのかがはっきり分かっていなかった状態ですか。
「そうではなくて、全くそういったやり取りがありません。あったとするならば、当番弁護士さんが黙秘権とかを教えてくれたわけです。」
当番弁護士の話を聞きますけど、当番弁護士の方が来たということだけど、これはあなたが頼んだというわけなんでしょうか。
「僕が弁護士という存在を知って、弁護士というものを取調べのときに求めたことはありますが、それは当番弁護士さんが会いに来てくれた後の話なので。」
初めて当番弁護士さんが来たときは、あなたが頼んでないけど、だれかが頼んでくれて来たということなんですか。
「僕自身は頼んでおりませんとしかお答えしようがありません。」
（続く）
作成者
今枝仁
: 2007年10月13日(土) 12:33
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◎ ９月１８日 供述の変遷について被告人質問 ４
（続き）
弁護人（足立）
あなたの気持ちとしたら、警察とか検察庁で取調べを受けているよりは、自分の話を少しはよく聞いてもらったというふうな印象があるんですか。
「はい、あります。」
特にこの人にはよく聞いてもらったんじゃないかと思えるような話、人はいますか。
「やはり鑑別所の中にいたときには、僕が鑑別所の中で食事を食べたり、中でスポーツをしたり、生活をしておりますので、職員さんのほうが、わりかし僕のほうをよくよく認知してくれておりますので、そこが根本的に、調査に当たられた日と、または捜査に当たられた人とは違ったところではないかと思います。」
あなたは、こういう取調べが初めてだと、容疑者として逮捕されるのは初めてということですけれども、警察に連れて行かれるときに、弁護人についてもらおうとか、そういうことは考えませんでしたか。
「そもそも弁護人が付いてくれること自体を知らなかったわけですね。」
あなたは、当番弁護士とか、そういうことも知らなかったですか。
「１８日に僕が逮捕されまして、取調べが行われていくわけですけど、大体１０日くらいたったときに、その当番弁護士が初めてやってこられたわけですけど、そのとき、初めて弁護しさんという存在を知ったわけです。」
あなたは、取調べを受け始めたときは、弁護士さんとか、そういう人から、捕まってる状況とか、これから行われようとしてることの意味とか、そういったものは全然聞いてなかったということですか。
「はい、全く聞いておりません。」
供述調書というものを取られていったと思うんですけれども、この意味というのはどういうことか理解できていたんでしょうか。
「供述調書の重要性については、認識しきれていません。どれだけの重要性があるかも分かりません。」
細かい事実関係とか、そういったものの意味とかも分かってなかったということですか。
「分かっていないままに、取調べが行われたというわけです。」
取調べを受けるときに、調書について訂正を求めたりとか、署名を拒否することができるとか、そういうことは知っていましたか。
「訂正の申し立て、また署名の拒否という権利自体が、僕は知っていないので、ところどころ、一部分だけ修正してもらった覚えはありますけれども、修正の申し立てとかの、そういったことが言えるんだということは教えていただいておりません。」
作成者
今枝仁
: 2007年10月13日(土) 12:34
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◆供述調書の作成過程
これも修習生のときの話。
浦和修習だったんですが、大宮で「関東弁護士連合会」の大会があり、そこに行って、修習先のボスに「大宮の夜の修習」をさせてもらい、タクシーで都内（練馬区）の自宅に帰ろうとしていたとき、国道１７号線バイパスで、右折車にタクシーが正面衝突し、全損となるような事故に遭いました。
私はすぐに病院に搬送。
幸い、膝を捻挫し全治約２週間くらいの怪我ですみました。
後日、浦和西署の交通課に出頭し、事情聴取を受けました。
警察官「あなたは、２８歳ということだけども、かなり落ち着いて見えるね。顔もいかつい立派な顔つきだし、年上に見られるでしょう。」
私「そうですね。」
警察官「４０台、５０台にも見られることあるっしょ。」
私「まあ、たまにありますね。」
そしてできあがった調書を読み聞けされると、「私は、２８歳ではありますが、顔がいかついからか、年上に見られ、４０台、５０台にもよく見られます。」と始まっています。
私「なんでこんなことわざわざ書くんですか？」と聞くと、
警察官「（ニコッ）タクシーの運転手さんの調書でさ、『乗客の方は、４０台から５０台のサラリーマン風の顔がいかつい男性』ちゅーて書いてあるもんだからさ。別人か、っちゅーことになってもいかんので、内容を合わさんといかんのよ。そういうもんだからさ、まあ、ひとつ勘弁して。」とのことでした。
「ハア・・・まあいいですけど。」
とそのまま署名押印しました。
まあ、警察の調書とは所詮こういう風に作られるもんなんか、と勉強した司法修習生でした。
※この記事は、実際の事案をかなりリアルに書いています。
作成者
今枝仁
: 2007年10月13日(土) 11:16
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◆猫の恩返し
私が修習生だったときの話。
刑事裁判修習で、窃盗罪かなにかだったと思いますが、勾留中の被告人の裁判がありました。
担当裁判官は、皇太子妃候補にもなっていたという、由緒ある家柄の子女の女性裁判官。
猫大好き。
家に猫が５０匹以上いるらしい。
お母様は、「猫の心理学」とかいう本を出している心理学者とか。
猫の話題なると、人が変わります。
弁護人「今回、こういう事件を起こして、周囲にも迷惑をかけ、反省していますね。」
被告人「はい、反省しています。」
弁護人「逮捕・勾留されてみて、なにが一番大変でしたか。」
被告人「・・・・飼っている猫のことが一番心配でした。」
弁護人「（ムキ！） 猫はどうでもいいんだよ！」
ここで私たち修習生はハラハラして裁判官の顔色を窺いました。
やはり・・・顔色が変わっています。
裁判官「（クワッ）どうでもよくなーい！ 猫の命は大事です！！」
キター！ 猫の話題は裁判官の琴線に触れるのです。
弁護人もさすがに臨機応変に対応します。
弁護人「（おっ！） そうそう、君は猫のことを自分のことより心配する心優しい青年なんだね。」
被告人「はい、猫のことがかなり心配です。（暗い表情）」
結局、２日後くらいに判決日が指定され、執行猶予で釈放でした。
裁判官「猫を飼う責任も考え、こういう事件を２度と起こさないように。」
被告人「はい。かなり決意しています。」
しかし、私は判決後の会話を聞き逃しませんでした。
被告人「お母さん、ポン吉の面倒みてくれてありがとう。ポン吉は？」
母親「あんたのアパートのドア開けたら、ダッシュでどっかに逃げてったよ。」
被告人「・・・・」
・・おいおい、一番心配だったはずなのに、今まで知らなかったのかよ。
※実際の事案をデフォルメして再現しており、必ずしも正確ではありません。
作成者
今枝仁
: 2007年10月14日(日) 10:41
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2007年10月12日(金)
◎ ９月１８日 供述の変遷について被告人質問 ３
（続き）
で、その中のやり取りとしましては、僕は、亡くなった奥さんとエッチしたというような言い回しをしているわけですけど、その吉池さんから言わせたら、やっぱり亡くなったとは言っても、彼女は妻なわけで、だんなさんがいるわけだから、だんなさんから見たら、レイプではないかと、死後セックスをしてもレイプではないかということを言われまして、それで、僕自身というか、吉池さん自体が、だんなさんだけではなくて、亡くなった弥生さん自体も、僕に抱きつかれて抵抗したということは、そういったセックスとか、したくなかったわけだから、いくら死後とはいえ、セックスしてることはレイプなんだというふうに持っていかれまして、最初は、僕は、死んでしまいたいといった気持ちが上回っていて、取調べが難航していたわけなんですね。」
取調べが難航する、つまり、吉池検事は、あなたにレイプ目的ということを認めさせたいけれど、あなたは、レイプではないということを言っていたんですね。
「言っていました。」
それで、あなたがそういう形でいろいろレイプ目的を認めないという状況の中で、吉池検事から、そういうふうにしているとどうなると言われたようなことはありますか。
「レイプ目的がないとあまりにも言い張るようだったら、自分にはそのつもりはないけれど、上と協議した結果、議論した結果、死刑という公算が高まってしまうと、で、自分は、君に死なれたくないから、生きて償いなさいと、そういったことを伺いまして、僕が涙を流しまして、それで吉池さんが作られた調書にサインしたわけです。」
取調のとき、本件では、家庭裁判所に送致されて、その後、鑑別所であなたのことをいろいろ調べられたと思うんですけども、そのときの状況というのは、捜査の段階と多少変わってたとは思うんですけども、どうでしたか。
「捜査の段階と調査に当たった人の大きな違いとしましては、取調べのほうでは、最初のころは置いといて、途中から質問に対する答えというやり方っで、取調べが、これは捜査員のほう、刑事さんと検察さんのほうですけど、行っていたんですけど、調査団のほうは、これは調査団というか、これは、鑑別所の職員さんと言ったほうがいいかな、は、僕の方が、質問に対する答えもそうなんだけど、ある程度、自由というものが保証されていたというのが大きな違いですけど。」
（続く）
作成者
今枝仁
: 2007年10月13日(土) 12:35
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◎ ９月１８日 供述の変遷について被告人質問 ２
弁護人（足立）続き
あなたは、逮捕された後、弥生さんと夕夏ちゃんが亡くなったことについて、責任を認めるという供述をするまで、どういう気持ち、心理状態だったんですか。
「事件後のショックから、気持ちという面では、大変自分でもわかりにくい状態でして、なかなかこの辺りも言い表すことが難しいです。」
逮捕された直後、あなたは、初めから自分のやったことだというふうに、必ずしも認めていたわけではないんでしょう。
「はい、必ずしも認めていたわけではありません。」
できれば、自分が捕まるんじゃなくてということを考えていましたね。
「はい、考えておりました。」
そういう気持ちになってたこともあったんですね。
「ありました。」
それから、逮捕された日に、逮捕される前になるのか、あなたが警察に連れて行かれた日に、弥生さん、夕夏ちゃんが亡くなったのは自分がやったことだということを認めるわけですけれども、その後、その次の日、吉池検事の取調べがあって、そこで、レイプの目的とかいうことの調書をとられることになるんですけれども、その吉池検事の取調べの時点くらいまでは、あなたは、どういう気持ちを持っていましたか。あなた自身、これからどうしようと思っていましたか。
「・・・殺すつもりのない人をあやめてしまった後なので、自殺したいという気持ちのほうが上回っておりまして、そのような状態で吉池さんと、検事さんの取調べの日を迎えてしまったわけです。」
４月１９日の日に、吉池検事の取調べの中で、調書としてはレイプしようと思ってというふうな調書をとられるわけですけれども、その認めるに至る過程での吉池検事とのやり取りというか、そういうのは、簡単に言うと、概略的なことで言うと、どういうことだったのか、教えてもらえますか。
「概略的というのは、どのようなことでしょうか。」
吉池検事のところで、あなたが、償いについて何か言われたことはありませんか。
「生きて償いなさいということを前提に話されました。そのやり取りの中で、僕が、どうしても、まだ犯行を認めきっていないというよりも、僕自身は、レイプという、吉池さんの調書の中で載っていると思われますけれど、その中で、僕は、レイプという言葉を用いてないわけなんですね。
（続く）
作成者
今枝仁
: 2007年10月12日(金) 11:23
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◎ ９月１８日 供述の変遷について被告人質問 １
主任弁護人
この作業着に見覚えがありますか。
「あります。」
これは、事件当時着ていた作業着ですか。
「事件当時着ていた作業着です。」
それはどういうところから分かりますか。
「左胸のポケットにあります●●●●という会社のネーミングですね。このネーミングと、それから、作業着の紫の色と、この水色であるところですね。」
左側の内側を見ると、あなたの名前と電話番号が書いてありますが、これは見覚えがありますか。
「はい、見覚えがあります。」
これは、この前あなたが言ってた、お父さんに書いてもらった名前ですか。
「はい、お父さんに書いてもらった名前です。」
弁護人（足立）
供述の変遷のことを聞きますが、まず初めにあなたが本件で警察につれていかれた後の取調べの概要などについて聞いていきます。あなたが本件の事件を起こしたことについて、逮捕されるころ、そのころ、どういう気持ちになっておりましたか。
「事件を起こしてから、逮捕されるまでの気持ちですか。」
はい。
「一言ではなかなか言い表しにくいところがあるのですけれど、大変重大なことをやってしまったという認識がありまして、で、不安でたまらない状態が続いておりました。」
取り返しのつかないことをしたというような気持ちですか。
「はい、結果的に取り返しのつかないことをしてしまったという認識です。」
あなたは、逮捕された後、取調べ中に涙を流したこともあったんですか。
「取調べ中にどうしても涙が流れてしまう場面というものはありました。」
あなたは、逮捕された後、あなたのお父さんに対してどういう気持ちを持っていましたか。
「・・・難しいですね。」
あなたは、逮捕された後、お父さんに会いたくないということを警察の人に言っていますね。
「告げています。」
それは、どういう気持ちからそういうことを言ってたんですか。
「父親が怖いから、率直に捜査員さんの方に告げさせていただきました。」
あって厳しく怒られるとか、しかられるとか、そういうことを心配してたということですか。
「いや、会ってしかられるとか怒られるとかのレベルではなくて、体罰を伴うというか、そういった趣旨の恐れですね。」
あなたは、警察に事件の容疑者として連れて行かれたのは初めてのことですか。
「容疑者として連れて行かれたことは初めてです。」
（続く）
作成者
今枝仁
: 2007年10月13日(土) 12:36
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○ 大山事件 被告人の息子であり被害者の息子でもある少年の上申書（抜粋）
大山事件の息子が、上申書をブログに掲載してほしいとのことです。
裁判所に採用された証拠です。
一審では、逆に、「父さんはもし僕が父さんの犯行に気づいていたら母さんと同じように殺していたのか。許せない。」と息子が書いていることが、死刑選択の一理由とされました。
事件当時、息子は小学生、今は１９歳です。定時制高校に通いながら、働いて自立しています。
（以下抜粋）
父さんは、○○さんを殺し、僕の母さんを殺しました。
父さんは、取り返しのつかない事をしたと思います。
父さんのした事は、ぼくや妹の生活を大きく変えました。
淋しくて、辛くて、人目を気にする生活が何年か、続きました。
今までは、父さんの事を、許せないと思っていました。
今は父さんの事を許しています。
父さんは、自分勝手なすごくひどい事をしたと思う。
ぼくや、妹や、親戚のみんなはこの事ですごく傷つきました。
母さんや、○○さんが父さんに殺された事は、一生忘れる事はできないし、もしかしたらそのせいで、好きな人と結婚できないかもしれません。
だけど、そんな悪い事をした人でも、ぼくの父さんなんです。
世界で一人しかいない、大切な父さんなんです。
こんな事を言って、母さんがよろこぶはずはないし、親戚のみんなは腹が立つのもわかっています。
だけどぼくは、父さんを失いたくないんです。
今までこんな文章を書いたことがないので、うまく書けないし、ぼくの気持ちがうまく伝わらないかもしれないけど、とにかくぼくは、父さんの事を許せた。
父さんの気持ちを理解できた。
死刑にならないでほしい、生きてほしい、もう大切な家族を失いたくない、そう思いました。
僕の大切な父さんを死刑にしないでください。
お願いします。 大山●●
作成者
今枝仁
: 2007年10月12日(金) 10:01
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○◆裁判員劇の劇的な結果 主文、被告人今枝仁は・・・、
５年ほど前に、広島弁護士会主催の裁判員劇の被告人役を演じました。
事案は、スタンドで口論になって男性が男性を刺殺。店の包丁で胸を刺して死なせました。
しかし、被害者が加害者に襲いかかっており、とっさに胸のところで包丁を構えたところに被害者が覆い被さって刺さったものと主張。
そもそも殺害の実行行為があるのか、殺意があるのか（傷害致死か）、正当防衛または過剰防衛は成立しないのか、等が争点でした。
これについて、「広島弁護士会で一番、殺人犯の風格がある弁護士」ということで、私が被告人役に抜擢？されました。
現役裁判官を交え、３つの裁判員合議体がそれぞれ別個に合議した結果、うろ覚えですが、
�〇�人罪で懲役１０年くらい
�⊇�害致死か過剰防衛かで懲役５年くらい
��殺意なしか正当防衛で無罪
というように三者三様で極端に差がつく結果でした。
「人相が悪いから殺意があるのは明らか」という意見もまじめにあったそうです。
同じ事件で、裁判員合議体の構成や議論によってここまで結論が変わっていいのか？
むしろ結論が違うことが当然でありそういう制度を選択したのだから結論をそろえる理由はなにもない。
等々、いろいろな議論がありました。
後日談。
私は、弁護士会主催の劇程度ならいいやと思い、実名で「被告人今枝仁」で出たのですが、そのビデオが出回ってテレビ局もそれを資料にシミュレーションビデオを作ったようで、報道ステーションかなにかだっと思いますが、見ていたらいきなり「被告人今枝仁を、懲役１０年に処する。」とテレビで言われ、腰が抜けそうになりました。
作成者
今枝仁
: 2007年10月12日(金) 09:40
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2007年10月11日(木)
◎ 検察官は、僕をなめないでいただきたい。 詳細再現２
（続き）
弁護人（今枝）
供述の変遷のところで聞きましたけれども、あなたは、捜査機関、弁護人、友達、家族から裏切られたという思いを言っていましたね。
「はい。」
今の検察官からの線を縦に１本引いたのかという指摘、あなたに対する厳しい見方、まだされているということは分かりましたか。誤解をされる、濡れ衣を着せられる。
「それは、これから後、僕が生きていく上で、実生活に伴っていく、今、検察官が投げかけられた苦しみ以上の苦しみが僕には存在してくることは、現時点でも容易に想像できることです。ですけど、僕は、それを踏まえた上で生きていきたいとここでは述べさせていただきました。ですから、僕から検察官に言わせていただければ、なめないでいただきたい。」
こうやって、あなたとしては努力している、一生懸命証言をメモしているつもりでも、そう見てもらえない、そういう環境、状況というのはこれからもそう簡単にはなくならないと思います。その中でも、決して心折れることなく生きていくことはできますか。
「できます。」
検察官（仁田）
先ほどの、なめないでいただきたいという言葉の意味を聞きたいんですが。
裁判長
最後にそう言ったんだからいいじゃないですか。当然、文字通りと受け止めればいいんじゃないですか。
（終わり）
作成者
今枝仁
: 2007年10月12日(金) 08:09
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