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「同境遇の人に勇気を」

2007年10月06日

 人材派遣業大手による約3万9千円の賃金未払いが労働基準法違反にあたるとして、甲府労働基準監督署に2日に申告した峡中地域の30代男性が朝日新聞の取材に応じた。「金額の問題ではない。私が声を上げることで、同じ境遇の人を勇気づけることができれば」と申告した理由を語った。

 男性は、県内の工場の正社員として働いている。05年10月、生活費の足しにしようと、派遣会社グッドウィル(東京)に登録をした。工場では勤続10年以上になるが、基本給は今でも20万円に満たない。「いい条件の仕事なんてなかった。典型的なロストジェネレーション(さまよえる世代)です」と話す。

 工場勤務が非番の週末や大型連休を使って、月に1、2回、運送の仕事に派遣された。派遣先まで自家用車に同僚を乗せ、甲府から東京・国立まで運転を指示されたこともあった。

 だが「始業前だから」という理由で拘束時間に見合う賃金は支払われない。深夜手当も出なかった。「データ装備費」の名目で派遣1回あたり200円も天引きされていたという。申告する決心をしたのは、「労働条件について、疑問と怒りが積もったから」という。

 県内の4労基署には、様々な業種で正規、非正規で働く人から「賃金が支払われない」「不当に解雇された」など法令違反とする申告が年間200件ほど寄せられる。01年の305件を境に減少傾向にあるが、依然として高止まりの状況にある。男性は「働く人で泣き寝入りしている人は少なくないと思う。何かお役に立ちたい」と、申告を機に県内在住者らを対象にしたEメールアドレスを設けた。アドレスはgoodwillmondai@yamanasi.jp

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