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看護師内診を容認するチラシ配布、兵庫県産科婦人科学会

2007年10月14日

 横浜市などの病院で助産師資格のない看護師に内診をさせていた問題をめぐり、兵庫県産科婦人科学会(三浦徹会長)が、看護師の内診を事実上認めるチラシ6万枚を作成し、妊婦らに配布していたことがわかった。内診問題を受けて患者から問い合わせが相次いだため、「従来通りの診療を続けるという安心感を与えるのが目的」としているが、内診を禁じる通知を出している厚生労働省は「妊婦に誤解を与える」と困惑している。

 同学会は6月の理事会で、県内の年間出生数にあたる6万枚のチラシ作成を決めた。8月以降、各病院で医師が妊婦に手渡している。

 内診は、子宮口の開き具合などからお産の進行を確認する行為。保健師助産師看護師法などは助産行為を医師と助産師に限っているが、看護師については規定がなく、産科医側が長年、「医師の指示監督の下であれば看護師の内診は可能」と解釈してきた経緯がある。

 チラシは、02年に厚労省看護課長が内診を禁止する通知を出したことについて、「誤った考えを国民に植えつけた」と指摘。その後の同省と日本医師会などとの会談に触れ、「今までと変わることなく、看護師は医師または助産師の指示監督の下、診療または助産の補助の範囲内で内診を含む分娩(ぶんべん)に携わっていくことになった」と記す。

 裏面には今年3月に出された同省医政局長の通知文を掲載。通知は「医師、助産師、看護師が互いに連携を密にすべきだ」との趣旨で、同学会は「通知で内診問題は解決した」としている。

 三浦会長によると、県内の病院には妊婦や家族から「診療にあたっている人は助産師か」などの問い合わせが相次ぎ、現場の医師らが戸惑っているという。「医師不足など周産期医療の課題は山積しており、内診問題は枝葉末節。(チラシは)これまで以上に看護師らと協力して全力で診療にあたるという決意表明だ」と説明する。

 一方、同省看護課は「局長通知で内診を容認したわけではない」としたうえで、「分娩の進行管理を医師がしていれば、看護師が内診をすることはない。ほかに適切な表現を使ってほしい」と注文する。

 看護師の内診をめぐっては昨年、助産師資格のない看護師らに内診をさせたとして、横浜市と愛知県豊橋市の産婦人科医院長らが相次いで保健師助産師看護師法違反容疑で書類送検され、いずれも不起訴処分となった。

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