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抗生物質の種類

 ベータラクタム系抗生物質
セフェム系注射薬 セフェム系経口薬 ペニシリン系 その他
・セファロチン
・セファゾリン
・セフスロジン
・セフメタゾール
   etc・・・
・セファレキシン
・セファクロル
・セフィキシム
   etc・・・
・ベンジルペニシリン
・アンピシリン
・アモキシリン
   etc・・・
・ラタモキセフ
・アズトレオナム
・ホスホマイシン
   etc・・・

これは先ほどのペニシリンと同じ作用、つまり細胞壁を作れなくして倒します
現在最もよく使われている抗生物質で、安全性においても優れています。
ただ、副作用が見られることもあります。

ペニシリンによって起こる過敏性のショック、つまりペニシリンに
体がビックリして蜂に刺された時と同じアレルギー反応を起こしてしまうのです。
これは命に関わります。

また、飲み薬として与えた時、腸の細菌がやられて
バランスが崩れることにより下痢などを起こすことも
ありますので、長期間は使用しないようにします。


 合成抗菌薬
サルファ剤 キノロン系
・スルファジメトキシン
・スルファモノメトキシン
・スルファジアジン
・スルファメトキサゾール
   etc・・・
・ナリジクス酸
・ノルフロキサシン
・オフロキサシン
・エンフロキサシン
・シプロフロキサシン
   etc・・・

サルファ剤は尿路感染症によく使われます。
また、原虫という寄生虫にも効果があるので、
原虫が原因の下痢などにも使われます。

このサルファ剤は簡単に耐性菌が出来てしまうという
特徴も併せ持ちます。

キノロン系は新しめな抗菌剤で、強力、
かつ広範囲の細菌に効果
があります。
しかしながら、強力であるがゆえに最後の手段としたい薬でもあります。
これに対する耐性菌の出現を抑えたいからです。


 アミノ配糖体
アミノ配糖体
・ストレプトマイシン
・ジヒドロストレプトマイシン
・カナマイシン
・ゲンタマイシン
   etc・・・

強力な抗生物質。
他の抗生物質では効きづらい緑濃菌にも効きますが、副作用が強いです。
腎毒性や聴覚障害などが現れることもあるので注意が必要。


 その他
テトラサイクリン系
・オキシテトラサイクリン
・クロルテトラサイクリン
・ドキシサイクリン
・ミノサイクリン
   etc・・・

テトラサイクリン系は毒性の少ない抗生物質です。
他の薬が効きづらいマイコプラズマ、リケッチア、
クラミジアなどの細菌にも効きます。


広範囲の細菌に効くのですが、それが原因で耐性菌
出現しやすいといった欠点も持ちます。 


マクロライド系
・エリスロマイシン
・ジョサマイシン
・ミデカマイシン
   etc・・・

マクロライド系の薬は急性の呼吸器感染症などに良く使われます。
それは肺炎の原因になるマイコプラズマなどにも有効(他の薬は効きづらい)
であるということが理由です。
それに副作用が少ないのも魅力的な抗生物質です。
ただし、耐性菌は増えてきています。


クロラムフェニコール系
・クロラムフェニコール
・チアンフェニコール
   etc・・・

この薬は広範囲の細菌に効くが副作用が強いため、
他の抗生物質が効かなかった場合などにのみ用いられます。


 まとめ
これが簡単な抗生物質の説明です。
獣医は抗生物質を、予測される細菌に対して使い、
なおかつ耐性菌が出現しないように気を使いながら使用しています。

抗生物質を打ってもらったときなどは、
副作用についても獣医に聞くといいですね。
では最後に耐性菌について・・・


 
耐性菌について
よく言われることですが、大きな動物は環境の変化に対応できない、
逆に小さな動物は環境に対応しやすい、と言われています。
恐竜が絶滅した原因としてもこの話は有名ですよね。

同じことが細菌に言えます。
非常に小さい、環境に対応しやすい動物なわけです。
つまり、抗生物質の投与という劣悪な環境の中で、
なんとか進化して生き残ろうとします


それが耐性菌。
最早今まで効いた抗生物質は効かなくなります
他の抗生物質さえも効かなくなってしまった菌、それがあのMRSAなんです。

院内感染で問題になってますよね。
MRSAに感染すると、効く抗生物質がバンコマイシンというものしかなく、
更にこのバンコマイシンに耐性のある菌が出てきました。

そしてきっとまた新しい抗生物質が開発されるでしょう。
ひたすらこの追いかけっこが続くのです。
だから出来るだけ耐性菌を出さないよう、
抗生物質の選択には注意を置いているのです。


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抗生物質をじゃんじゃん使う獣医が居ます。
もちろん耐性菌の心配が出てきますよね。



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