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イスラエル 軍の作戦で全身不随 パレスチナ少女窮地に

10月12日9時58分配信 毎日新聞


イスラエル 軍の作戦で全身不随 パレスチナ少女窮地に

人工呼吸器を使い、車いす生活をするマリアちゃん。父ハムディさんはやりきれない様子で娘を見つめた=エルサレム市内で、前田英司撮影

 【エルサレム前田英司】イスラエル軍の「暗殺作戦」に巻き込まれ全身不随になったパレスチナ人少女が、イスラエルの病院での治療打ち切りを通告され窮地に陥っている。同国の法律は「交戦」の巻き添え被害者に対する補償責任はないと定めており、最高裁も「暗殺作戦」は合法との立場。少女側は同国での治療継続などを最高裁に訴え出ており、その処遇がイスラエル社会にも波紋を広げている。
 少女はパレスチナ自治区ガザ地区のマリア・アマンちゃん(6)。06年5月、ガザ市内を車で家族と移動中、目の前を走っていたイスラム原理主義組織「イスラム聖戦」幹部の車に、上空のイスラエル軍機からミサイルが撃ち込まれた。
 爆発に巻き込まれ、同乗していた祖母と母、兄、おじの4人が死亡。父ハムディさん(30)と弟モミン君(4)が重傷を負ったほか、マリアちゃんはミサイルの破片が後頭部に突き刺さり、脳幹を損傷した。首から下は不随となり、回復は不可能と診断された。
 マリアちゃんは同年6月からエルサレムにあるイスラエルの病院に入院。人工呼吸器を付け、電動車いすを、あごで操作して移動できるまでになったが、食事も排せつも自分ではできない。ハムディさんが病院に泊まり込んで面倒を見ている。
 イスラエル国防省は月額1万2000シェケル(約35万円)の入院費などを「善意で」(報道官)負担してきたが、今夏、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区ラマラの病院に移送する方針を家族に通告した。「病院が退院可能と判断したため」だが、ボランティアで世話をするイスラエル放送記者、レア・リオールさん(58)は「ラマラに十分な設備や専門家がいないのは明らか」と憤る。
 国防省は医療スタッフをラマラへ派遣し現地スタッフを指導するというが、ハムディさんは「娘は実験台ではない」と怒りを隠さない。
 マリアちゃんらは8月、イスラエルでの治療継続とともに、永住権取得を最高裁に訴えた。永住権があれば、イスラエルの社会・医療保険などを受けることができ、ハムディさんも仕事に就けるようになるからだ。最高裁は今後3カ月以内に審議を開始する。
 この一件はイスラエルの民放テレビでもたびたび取り上げられ、パレスチナ武装勢力の自爆テロなどを警戒するイスラエル世論からも「巻き添え被害者を見捨ててはいけない」との同情的な声が上がっている。
 イスラエル紙ハーレツによると、00年の第2次インティファーダ(反イスラエル抵抗闘争)発生以降、少なくとも339人のパレスチナ人が暗殺作戦で殺害されたが、3分の1以上の129人は巻き添えになった一般市民だった。例外を除き、こうした犠牲者がイスラエル政府から補償を受ける道は断たれているのが実態だ。

最終更新:10月12日9時58分

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