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イラン:横国大生誘拐 危険性どう伝える? バム、観光地の魅力満載 ガイド本に課題

 横浜国立大4年、中村聡志さん(23)が武装グループに誘拐されたとみられるイラン南東部の町・バム。世界遺産でもある城塞(じょうさい)で知られる観光スポットだが、外国人旅行者を対象にした誘拐・拉致事件などが相次ぎ治安悪化も伝えられていた。危険情報をどう伝えるか、ガイドブックを発行する出版社で課題となっている。【工藤哲、桐野耕一、酒井祥宏】

 「観光客の誰もが足を運び、しかも大絶賛する」。最も人気のある外国旅行者用ガイドブック「地球の歩き方」シリーズのイラン版「イラン ペルシアの旅」(07~08年版)。バムについて「はるかなる歴史を語る遺跡を訪ねて」の項で、177ページから4ページにわたって紹介している。

 この地域の危険についての記述があるのは、離れた277ページからの「旅の準備とテクニック」の中。バムに近いザヘダンを紹介し、「外国人誘拐事件がたびたび発生している」などとある。末尾の300ページからの「トラブル対処法」とする3ページの記述の最後に、「外務省の危険情報」に関する記述がある。

 「地球の歩き方」を編集するダイヤモンド・ビッグ社の担当者は「数年前から目次に『出発前に必ずお読み下さい』という項目などを設けて安全情報に目を通すよう呼びかけている。読みにくいとの指摘があれば改める」と話している。

 個人旅行者向けの雑誌などを出版する「旅行人」の「アジア横断 改訂版」。中村さんは6月からネパールでボランティア活動をした後、今月初めにパキスタンからイランに入国したが、バムに向かうルートは、モデルルートと紹介されている。

 同書はイランのコーナーの冒頭で、気候、両替、宿泊事情などとともに治安について紹介。02年7月の外務省渡航情報でアフガニスタン国境から100キロの範囲で「渡航の延期をおすすめします」としていることなどが記載されている。その後に観光情報がある。

 外務省海外邦人安全課は「危険情報は多く取り上げてほしいが、編集は発行者の裁量に委ねざるを得ない。旅行者は現地の治安を確認して行ってほしい」と話している。

 ◇事前に情報収集を--「世界一周ビンボー大旅行」の共著があるフォトジャーナリストの桃井和馬さんの話

 海外の治安の状況は急激に変わることがあり、ガイドブックだけでは情報に限界がある。旅行者は事前に情報を徹底的に集めてから行くべきだ。編集する側も、安全について読者に伝わりやすいように「見やすさ」や「読みやすさ」を絶えず追究すべきだ。

毎日新聞 2007年10月14日 東京朝刊

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