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業者選定の経緯、内部文書に記載 グリーンピア南紀問題

2007年10月11日

 巨額の年金資金で建設された大型保養施設「グリーンピア南紀」(和歌山県那智勝浦町、太地町)の跡地再生事業が頓挫している問題で、委託業者選定をめぐる詳細な経緯を記した内部文書を、那智勝浦町の幹部が作成していたことがわかった。文書には、委託業者側の提案に沿って町が事業計画を作ったことや政治家の関与などについて記されており、これまでの町の説明とは食い違う。幹部は朝日新聞の取材に、文書の存在を認めたうえで「マスコミに公開を求められたので廃棄した」と説明している。

 問題の文書は「グリーンピア南紀について」。作成した町幹部は跡地再生事業を担当し、02年5月から経過を随時記入。報道機関などへの説明の際、内部資料として利用していた。

 朝日新聞が入手した文書の一部によると、04年5月10日、事業を委託された中国系企業「香港ボアオ」のオーナー・蒋暁松氏(55)と打ち合わせをした中村詔二郎町長側が「利活用計画はボアオの計画に沿って作成したい」との意向を示した。だが、町は06年3月の広報誌で、同社を選んだ理由について「町の基本計画に基づいて利活用できる唯一の企業と判断した」と記述。報道陣にも「最初にボアオありきではなかった」と説明していた。

 文書はさらに、自民党総務会長の二階俊博衆院議員(和歌山3区)が蒋氏を町側に紹介した経緯などに触れ、04年2月4日、二階議員が蒋氏や中村町長らとともに旧年金資金運用基金を訪ねた後、2人に文書を取り交わすよう要請したことも記していた。

 一方、町が町議会やマスコミに配布した資料では、二階議員の紹介で蒋氏が視察に訪れたとの記載はあるが、二階議員の具体的な関与などには一切触れていない。

 町幹部は内部文書について「何かあった時に表に出すために私的にまとめたメモ」と説明。「公開を求めてきた報道機関がメモでも公文書になる、と言うので、私が持っておかない方がいいと考えて捨てた」と話した。当時の経緯に詳しい町関係者は「二階議員の関与を隠すために捨てたのだとしたら、許し難い行為だ」と憤る。

 全国市民オンブズマン連絡会議事務局長の新海聡弁護士は「公の仕事に使っている文書を破棄したのなら、刑法の公用文書等毀棄(きき)の罪にあたる。公共施設を民間に払い下げる際、重要なのは公正に相手が選定されるかどうか。公正さを示すはずの文書を捨てれば、手続きは不正と言われても仕方がない」と話す。

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