沖縄戦の集団自決をめぐる教科書検定問題で、教科書会社などの労働組合が加盟する出版労連は十二日、集団自決に日本軍の強制があったとする記述を削除させた検定意見の撤回を求める渡海紀三朗文部科学相あての要請書を文科省に提出した。
これに先立ち、出版労連は「集団自決が日本軍の命令・強制・誘導で起こされたことは疑いようのない事実。今回のような政治的検定は容認できず、沖縄戦の真実をゆがめてはならない」との特別決議を採択した。
出版労連は検定意見に基づいて記述を修正した教科書会社が、訂正申請する姿勢を示していることに対し「訂正申請では検定意見を付けた文科省の責任が不問となる。元の記述に戻る保証もなく、撤回が筋」と主張。
記述を修正した五社のうち三社に「拙速な訂正申請をしないでほしい」と申し入れた。残る二社にも同様の要請をするという。
出版労連は「今回の問題は教科書検定審議会の不透明さにも問題がある」として今後、制度の改善も文科省に求めていく方針。
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