福田政権発足を機に町村信孝官房長官、中川秀直元幹事長、谷川秀善参院議員の3人を代表世話人とする集団指導体制に衣替えした自民党最大派閥の清和政策研究会が、「町村派」の呼称を封印しようと躍起になっている。9日の衆院予算委員会では、町村派事務総長の中山成彬元文科相が「派閥」という呼称をやめるように提唱。先の総裁選では、町村派が率先して各派を締め付けただけに、他派議員からは冷笑が漏れた。
中山氏 「いまの派閥は研修の場、親睦(しんぼく)の場となっており、親分が金とポストで締め付けた昔とは変わった。ぜひ首相に『もう派閥はやめよう』と提唱してほしい」
首相 「派閥政治はとっくに影を潜めた。実態はすっかり変わっているのにいまだに派閥といわれるのは心外だ。政策研究グループと呼んでもらいたい」
衆院予算委の与党の質問で派閥問題が取り上げられるのは極めて異例。それほど先の総裁選が派閥談合でなかったことを訴えたかったといえる。
背景には、町村派の最高実力者である森喜朗元首相の意向がある。森氏は4日、各社の記者に対し、「今後の呼称は『清和研』としてほしい」と要請。「これだけお願いして中川・町村・谷川派と書くなら代表世話人を5人、6人並べるぞ」とすごんでみせた。
自民党内では、町村派の衣替えを、森−中川体制への移行と見る向きが強い。ある町村派中堅は「森氏らは『町村はずし』といわれることを嫌い、呼称封じに躍起になっているのではないか」と打ち明ける。
このような町村派の動きに他派は冷ややかだ。「小泉改革で他派閥はとっくにぶっ壊された。最も派閥らしい町村派に言われるのは片腹痛い」(派閥領袖級)との声もあり、森氏以来4代にわたって首相を輩出している町村派への恨み節は広がりつつある。
【関連記事】
・
自民各派が新体制に衣替え 派閥力学は流動的
・
小泉元首相、町村派で言いたい放題「民主は協力勢力」
・
第91代首相に福田氏、内閣の顔ぶれ
・
後継の軸、麻生氏「ホホホ…」 町村派は独自候補へ
・
「福田内閣」特集