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ハイリスク分娩の対象拡大へ
中医協小委
産科医療の評価拡大で一致

2007.10.10

 中医協・診療報酬基本問題小委員会(委員長=土田武史・早稲田大商学部教授)は5日、次期2008年度の診療報酬改定に向けて、産科医療とがん対策の推進について集中審議した。厚生労働省は近年、低出生体重児や40歳以上の高齢出産などハイリスク分娩が増加しているとした上で、「ハイリスク分娩管理加算」の対象疾患に前置胎盤や心臓疾患などの合併症を加えるなど対象拡大を行う方向性を示した。

 ハイリスク分娩管理加算の対象患者は、現行は<1>妊娠22〜27週の早産<2>40歳以上の初産婦<3>分娩前のBMIが35以上の初産婦<4>糖尿病合併妊娠<5>妊娠高血圧症候群重症<6>常位胎盤早期剥離―となっている。1日につき1000点で8日を限度に算定できる。厚労省保険局医療課の調べでは06年7月1日時点で705施設が届け出ている。

 また、厚労省はこの日、産科医療について緊急の母胎搬送の受け入れが円滑に行われるよう診療報酬で評価する方向性も示した。現在、国の「周産期医療システム整備指針」に基づいて、都道府県が総合周産期母子医療センターを中核とするネットワーク整備を進めている。

 しかし、ネットワークが整備されていても、搬送の受け入れ先が決まるまでに相当な時間がかかるケースがあるため、受け入れ態勢の充実に向けて診療報酬でも対応を図ることにした。

 この日の議論では、厚労省が論点として提示した<1>ハイリスク分娩管理加算の対象拡大<2>緊急の母胎搬送の受け入れに対する評価<3>同加算の対象患者と、分娩監視装置による検査やノンストレステストの対象患者の整合性を図る―の3点について、賛成意見が相次いだ。

● 評価拡大お願いしたい

 土田会長は「産科医療に対しては国民の関心も高く、強い関心が寄せられている。次期改定は現在の評価を拡大することで検討をお願いしたい」と述べた。

 ハイリスク分娩管理加算の対象拡大について古橋美智子専門委員(日本看護協会副会長)は、「母胎に併存する疾患で対象となっているのは現行では糖尿病しかない。全身疾患の併存によって分娩リスクが上がるものもある」と指摘。対象に加えるべきものとして、心疾患・腎疾患・体外受精による分娩・出血傾向・肢体不自由・心身障害を挙げ、「対象疾患の拡大を急ぐ必要がある」と要望した。

● がん治療「外来シフト」推進

 一方、がん対策について厚労省は、診療報酬によって放射線療法や化学療法の「外来シフト」を推進する方向性を示した。化学療法については、専任の医師や看護師、薬剤師を配置した専門的な治療を推進するため、必要な人材を配置している医療機関に対する評価を引き上げる方向だ。

 放射線療法についても、厚労省は、疼痛緩和を目的に外来での治療を希望する患者が増加すると見込んでおり、外来で放射線療法を受けられる体制について評価する方針。

 緩和ケアを推進する観点から、WHO方式のがん性疼痛の治療法に従い計画的な医学管理を継続しながら、療養上必要な指導を行う場合について評価するほか、在宅での緩和ケアの推進に向けて薬剤師の行う麻薬管理を支援する方向性も示した。

 このほか、終末期だけでなく治療の早期から緩和ケアを進めることが重要との観点から、緩和ケア病棟が終末期ケア以外の機能も果たせるよう役割を見直す必要性も指摘した。



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