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「村八分は違法」高裁も認定 集落有力者に賠償命令

2007年10月10日19時10分

 新潟県関川村の山あいの36戸の集落で開かれた「イワナつかみ取り大会」の運営にからみ、住民11人が集落の有力者3人を相手に「村八分」行為の禁止などを求めた訴訟の控訴審で、東京高裁(安倍嘉人裁判長)は10日、11人の住民側の勝訴とする判決を言い渡した。一審・新潟地裁新発田支部と同様、ごみ捨て場を使わせず回覧板を回さないなどの違法な行為があったと認定。有力者側に、これらの行為の禁止と計220万円の損害賠償の支払いを命じた。

 判決によると、原告の住民らは「お盆をゆっくり過ごせない」などとして、集落が主催する04年8月15日の大会の運営を離脱。大会の実行委員長、区長、農家組合長の有力者3人は「集落からの脱退の申し出」とみなし、原告らを対象に、ごみ収集箱の使用禁止▽山菜・キノコの採取のための入会地への入山禁止▽集落所有物の使用禁止▽役場などの広報紙や連絡文書の配布停止――の措置をとった。違反は罰金3万円と決めた。

 判決は「集落の行事から脱会しただけで、集落から脱退したものではない」と判断。「集落員としての権利や生活上の利益を奪うものだ」として有力者らの行為を違法と認めた。

 判決後に記者会見した原告の一人は「判決で急に3人の態度が変わるとは思わない。しかし、次の世代に平和な村を残していく責任がある。不法行為がなくなるまで団結して頑張っていく」と話した。

 一方、有力者の一人は「自分たちには訴えられる理由がないと考えている。ただ、判決を受けて、ごみの収集箱を使用させるかどうかや上告するかどうかは集落で総会を開いて決めたい」と話した。

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