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タクシー、地方都市で事故多発 規制緩和がひずみ生む

2007年10月10日06時09分

 02年2月のタクシーの規制緩和以降、タクシーが人身事故を起こす割合が首都圏より宮城、福岡といった地方の大都市でより増える傾向にあることがわかった。全国的に横ばいの自家用車やトラックに比べ、タクシーは事故割合が増え続けている。なかでも新規参入などによる競争の激化で運転手の収入減や労働環境の悪化が著しい地方の都市で、しわ寄せがより鮮明に表れている。

 規制緩和で新規参入やタクシーの増車が容易になり、多様なサービスや料金体系が生まれた一方で、安全面のひずみも生まれていることが裏付けられた。待遇改善のため国土交通省は申請が出ている各地で運賃の値上げを認めつつある。

 国交省が公表している都道府県別のタクシーの台数や走行距離の統計資料と、相手よりタクシー側の責任がより重い人身事故の件数をもとに、朝日新聞が集計した。その結果、1日の走行距離に占める客を乗せて走った距離の割合「実車率」の低下と走行距離当たりの事故件数の変化に相関関係がうかがえる地域が多かった。実車率が低いと1日の売り上げが減るため、運転手は客を見つけようと急いだり注意力が散漫になったりしがちとされる。

 関連が際だっていたのは東北最大の都市・仙台を抱える宮城県。01年度に比べて05年度の実車率が3ポイント下がる一方、走行距離当たりの事故件数は01年に比べて約3割増えた。宮城県は01年以降、新規参入と既存業者の増車で約1000台タクシーが増加。1日の売り上げが大幅に減り、激しい客の奪い合いや長時間労働を強いられている。

 福岡県、札幌市やその周辺、新潟県などでも全国平均より実車率が落ちた一方で走行距離当たりの事故件数が1割以上増えていた。実車率がほぼ横ばいで、距離当たりの事故件数が微減や横ばい傾向にある東京都や神奈川県とは対照的だ。

 流し営業が主体の都市部でも、首都圏より地方の方が限られた利用客を巡って競争が激しくなりがちなためとみられている。

 全国的には05年度の実車率は01年度よりわずかに低下。一方、人身事故は05年に2万7794件と01年より1742件増え、走行距離当たりの事故件数も微増傾向にあった。

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