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社説

教科書検定 小手先の修正で済まぬ(10月5日)

 検定済みの高校日本史教科書の記述が修正される可能性が強まった。

 ○六年度の教科書検定で日本軍が沖縄戦で住民に集団自決を強制したとの記述が削除された問題で、文部科学省が記述の修正の検討を始めた。

 九月末に沖縄で、検定意見の撤回を求める大規模な集会が開かれた。文科省は、この動きを無視できないと判断して方針を変えたのだろう。

 だが、検定意見をそのままにしておいて、教科書の記述内容だけを変えるというのでは筋が通らない。

 文科省は検定意見を撤回し、理由を丁寧に説明する必要がある。お茶を濁しただけの修正ならごめんだ。

 沖縄戦の記述は、先の検定で大きく変わった。「なかには日本軍に集団自決を強制された人もいた」と書いた教科書が、「なかには集団自決に追い込まれた人々もいた」と修正された。

 日本軍に集団自決を強いられたという記述が、追いつめられて集団自決したと修正された教科書もあった。

 文科省の検定意見は、軍の強制や命令があったかは不明だという考えに基づいている。

 沖縄には、集団自決を目撃した多くの体験者がいる。日本軍から「米軍の捕虜になるな」と厳命され、自決用の手榴弾(しゅりゅうだん)を配られたとの証言もある。

 証言から伝わるのは、軍が住民に強い影響力を持ち、集団自決も軍の関与なしには起こらなかったことだ。

 文科省の検定意見は歴史から目をそむけている−。これが沖縄の訴えの核心である。

 仲井真弘多(ひろかず)沖縄県知事らの要請を受けた渡海紀三朗文科相は、軍関与の記述復帰に向け柔軟な姿勢を表明した。歴史をゆがめかねない検定意見だったことを認め、撤回するのが筋である。

 教科書検定では、まず文科省の教科書調査官が記述についての意見書をまとめ、文科相の諮問機関である「教科用図書検定調査審議会」に検討を委ねる。軍関与にかかわる記述削除も調査官の意見書から始まった。

 政府は、一度決まった検定意見を政治の意向で変更することについては、「介入につながる」との理由で否定的な立場を取り続けている。

 しかし一連の経過を振り返れば、政府は審議会を隠れみのにしているとしか思えない。

 文科省の苦境を忖度(そんたく)するかのように、一部の教科書会社が記述を修正する方向で検討を始めた。

 教科書会社が記述を書きかえた例は過去にもある。今回は、どんな根拠に基づいて修正するのか。教科書会社側にもきちんとした説明を求めたい。

 教科書会社から訂正申請を出させ、それをもとに文科省が沖縄戦の記述を差し替える−。そんな小手先で取り繕えるような問題ではない。

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