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2007年9月29日(土) 朝刊 1・27面
手榴弾配り自決命令/住民が初めて証言
検定撤回きょう県民大会
 一九四五年三月二十五日、座間味村の忠魂碑前に軍命で集まった住民に対し、日本兵が「米軍に捕まる前にこれで死になさい」と手榴弾を渡していたことが二十八日、同村在住の宮川スミ子さん(74)の証言で分かった。長年、座間味村の「集団自決(強制集団死)」について聞き取りをしてきた宮城晴美さん(沖縄女性史家)は「単純に忠魂碑前へ集まれでなく、そこに日本軍の存在があったことが初めて分かった」と指摘している。一方、「教科書検定意見撤回を求める県民大会」(主催・同実行委員会)が二十九日午後三時から、宜野湾海浜公園で開かれる。(又吉健次)

 忠魂碑前で日本兵が手榴弾を配ったとする証言は初めて。

 宮川さんは当時、座間味国民学校五年生。米軍が座間味島を空襲した四五年三月二十三日に、母のマカさんとともに家族で造った内川山の壕に避難していた。二十五日夜、マカさんが「忠魂碑の前に集まりなさいと言われた」とスミ子さんの手を引き壕を出た。

 二人は、米軍の砲弾を避けながら二十―三十分かけ、忠魂碑前に着いた。その際、住民に囲まれていた日本兵一人がマカさんに「米軍に捕まる前にこれで死になさい」と言い、手榴弾を差し出したという。スミ子さんは「手榴弾を左手で抱え、右手で住民に差し出していた」と話す。

 マカさんは「家族がみんな一緒でないと死ねない」と受け取りを拒んだ。スミ子さんはすぐそばで日本兵とマカさんのやりとりを聞いた。二人はその後、米軍の猛攻撃から逃れるため、あてもなく山中へと逃げた。

 聞き取りが当時の大人中心だったため、これまで証言する機会がなかった。スミ子さんは「戦前の誤った教育が『集団自決』を生んだ。戦争をなくすため、教科書には真実を記してほしい」と力を込めた。

 宮城さんは「日本軍が手榴弾を配ったことが、さらに住民に絶望感を与え、『集団自決』に住民を追い込んでいった」と話している。

 一方、県民大会の実行委員会は五万人以上の参加を呼び掛けており、九五年十月二十一日に開かれた米兵暴行事件に抗議の意思を示した県民大会以来十二年ぶりの規模となる。県議会や県婦人連合会、県遺族連合会など二十二団体の実行委員会と約二百五十(二十八日現在)の共催団体が超党派で加わっている。

 大会では実行委員長の仲里利信県議会議長や仲井真弘多県知事、「集団自決」の体験者、女性、子ども、青年団体などが文部科学省に抗議の意思を示す。文科省が高校歴史教科書から沖縄戦の「集団自決」への日本軍の強制を削除させた検定意見の撤回を要求する。

     ◇     ◇     ◇     

市民広場利用 米軍が認めず/大会関係者怒り

 【宜野湾】二十九日の「教科書検定意見撤回を求める県民大会」で、大会実行委員会(委員長・仲里利信県議会議長)が大会当日に宜野湾市役所向かいの「市民広場」を駐車場として利用することについて、米軍が「中立の立場を維持する」として許可しないことが二十八日、分かった。同広場は普天間飛行場の提供施設内で、市に無償開放されている。超党派の県民大会での駐車場使用を米軍が許可しないことに同実行委からは「県民の思いを理解できない」など反発している。

 同広場は約二百台の駐車場があり、通常は市民らが野球やゲートボールなどを楽しんでいる。大会当日は会場までバスでピストン輸送する予定だった。

 同飛行場のリオ・ファルカム司令官(大佐)は「日本国内の重要かつ慎重を期する問題について、中立の立場を維持する必要性がある」と強調。「論争となっている日本国内の政策については、支持あるいは不支持と受け取られることを避けるというのが私たちの方針」と説明している。

 宜野湾市の伊波洋一市長は「あえてゲートを閉めれば不支持と受け止められる。県民感情を逆なでする行為だ」と憤慨。「直接、基地に関係するものでもなく、納得できない。通常通り開門するべきだ。閉鎖すれば大会の怒りは基地に向かうだろう」と話した。

 県民大会実行委員会の玉寄哲永副実行委員長は「大会は超党派で日本軍強制の事実が削除されたことに対し、記述の回復を求めるもの。政府の顔色をうかがい、県民の思いを理解できない米軍人の思考回路はまったく理解できない」と批判。小渡ハル子副実行委員長も「県民の土地を奪い取り使っているのに米軍は恥を知らないのか。だから米軍は県民に嫌われる。言語道断の話であり、県民をばかにしている」と憤った。

主なニュース
数万人の参加者が詰めかけた県民大会会場=29日午後2時20分、宜野湾海浜公園(本社チャーターヘリから伊禮健撮影)
数万人の参加者が詰めかけた県民大会会場=29日午後2時20分、宜野湾海浜公園(本社チャーターヘリから伊禮健撮影)
【29日(土)夕刊】
検定撤回へ結集/宜野湾・宮古・八重山で県民大会【写真左】
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悲惨な思いつなぐ/平和の火リレー
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【29日(土)朝刊】
□手榴弾配り自決命令/住民が初めて証言
文科相「検定の経緯精査」/意見変更可能性も
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