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【社会】

『司法試験合格者増』に現場悲鳴 『弁護士は十分』

2007年10月4日 夕刊

 司法試験の合格者を二〇一〇年以降、三千人程度に増やす政府方針について、関東の弁護士有志が全国の弁護士にアンケートしたところ、回答者の86・6%が不必要と考えていることが分かった。

 国民に与える影響を「悪い」とした回答も69・5%。弁護士の“供給過剰”に直結する法曹人口増加に、批判が根強いことが浮き彫りになった。

 アンケートは約六十人の弁護士が参加する「司法『改革』を考える関東十県会有志の会」が六月に実施。全国約二万三千人の弁護士に質問票を送り、うち6・1%の約千四百人が回答した。

 司法試験合格者は二〇〇〇年度は約千人だったが、〇六年度は約千五百人。今後約三千人まで増える予定で、弁護士も急増し、日弁連は約五十年後には弁護士人口が約五倍の十二万人に上ると試算していた。こうした状況を踏まえ、妥当な合格者数を尋ねると「千五百人以下」と84・4%が回答した。

 最近の相談、受任件数も「減少」が42・0%。「弁護士の需要拡大が望める分野の有無」では「ある」の22・9%に対し「ない」は39・7%で、訴訟案件や人口の減少などが需要先細りの理由に挙げられた。

 有志の会の小川修埼玉弁護士会会長は「大量増員すると質の低下も不可避で、市民のためにならない」としている。

 

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