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【政治】

米が光熱費の大幅増要求 思いやり予算、日本は難色

2007年10月8日 朝刊

 今秋から本格化している日米両政府の在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)に関する新特別協定締結協議で米側が軍事負担増を理由に電気、ガス、水道代など光熱水料の大幅増額を求めていることが分かった。日本側は難色を示している。

 二〇〇七年度の光熱水料は二百五十三億円だが、具体的な要求額は不明。現在の特別協定は来年三月に失効するため、政府は年内に協議を決着させ、新協定案に基づく経費を来年度予算案に計上する方針だが、見通しは不透明だ。

 日米関係筋が明らかにした。十一月一日のテロ対策特別措置法の期限切れに伴い、インド洋で給油活動中の海上自衛隊の一時撤収は避けられない情勢。政府内では、活動中断に加えて思いやり予算をめぐる対立が深刻化すれば「日米関係に亀裂が生じる」(外務省幹部)との懸念も出ている。日米両政府が新特別協定案で合意しても、参院の与野党逆転により、承認をめぐる国会審議は難航が予想される。

 思いやり予算は在日米軍の隊舎や家族住宅など施設整備を図る地位協定分と、それ以外の特別協定分に分かれる。二〇〇七年度の総額は二千百七十三億円で、うち特別協定分は千四百九億円。基地従業員の基本給千百五十億円のほか、在日米軍が公用で使用した光熱水料などが含まれる。

 日米両政府は今春から新特別協定に関する事前折衝を実施。米側は北朝鮮や中国の軍事的脅威に対抗するため、アジア太平洋地域の米軍戦力を増強、地域の安定に貢献してきたとして、日本側にも思いやり予算の増額による「応分の負担」(米政府関係者)を要求。特に光熱水料の大幅増額を求めている。

 これに対し財務、防衛両省や自民党からは、思いやり予算の削減を求める声が出ている。

 【思いやり予算】 在日米軍駐留経費の日本側負担分。日本の物価高騰を受け、1978年度から「思いやりを持って対処する」(当時の金丸信防衛庁長官)として、米軍基地従業員の一部福利費などの負担を開始。その後、特別協定で基地従業員の基本給や光熱水料、訓練移転費などの負担に応じるようになった。従来、特別協定の対象期間は5年間だったが、2006年4月に発効した現在の特別協定は「米軍再編の進展を見極めることが困難」という事情を踏まえ、2年間とした。

 

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